なんて、実際は完全に事実とはいかないが、そう言うと興奮する。ほら、君も言ってみて!ほぼ毎日のペースで、クラフトビールを提供するバーやレストランが日本のどこかでオープンしている。—そう、「毎日」だ。現在、いくつかの新しいブルワリーが建設中あるいは計画段階にある。そしてほぼ毎週末、どこかでビールフェスティバルが開催されている。
以前も言ったが改めて言う。我々は「クラフトビールブーム」という言葉を好まない。この現象は一時的な人気の爆発などではないからだ。日本はパラダイム・シフトのまっ只中にいて、人々は何を飲むか、より多数の選択肢から、より職人っぽい(工業的でない)ものを求める段階にあると強く感じている。しかし、おそらく日本のクラフトビールシーンは進みすぎていて、実態が少々追いついていないかもしれない。1990年代後半のようなひどい緊縮状態(すなわちクラフトビールの「バブル崩壊」)に向かっているのだろうか?我々はそうは思わないが、ここ最近のフェスティバルシーズンについて考察してみることとしよう。ビールの準備はできた?よし、一口飲んで考えてみよう…
日本の主要都市では少なくとも1回はビールイベントが開催された。そしてイベントマップにいくつかの都市が新しく追加された。概ねフェスティバルは陽気な酒飲みたちによって人気を博したようだ。我々は、人々がお酒を楽しむ機会が増えたことに文句を言うつもりはさらさらない。ただしイベント疲れが始まりつつあるようには感じている。それはまるで映画「恋はデジャ・ブ」のようだ。毎朝起きると、同じイベント会場にいるのだ!
フェス来場客の熱は冷めつつある。フェスの目新しさが徐々に薄れているからだ。−実際そういう意見を我々はたびたび耳にする。さらに、数時間だったイベントがいまや数日間、ときには1週間以上開催されるようなフェスティバルへと成長した。長期間にわたるフェスは、果たしてより多くの来場者を呼び込み、より大量のビールを売り上げるのだろうか?それとも、入場者を拡散、減少させ、ブルワリーやスタッフの長期間の義務を強いるに過ぎないのだろうか?ちょっと待って、そもそもビールフェスティバルのメリットとは何だろう?
その答えは、ブルワー、イベント主催者、そして来場者によってまちまちだろうが、クラフトビールへの興奮を生み出すことが最も大切な目的であることは間違いない。我々は金銭面を軽視しているわけではない。我々だってビールフェスティバルに出展するとなると費用の問題はもちろん考える。我々が言いたいのは(ビール片手に)より突っ込んだ議論と、よりクリエイティブなプランニングが必要だということだ。
ここ数ヶ月のハイライトをいくつか振り返ってみよう。全国地ビールフェスティバルin一関ではいつものような本物の団結力を感じることができた。ルボー マリアージュでは極上のペアリングの機会が提供され、地ビールフェスタinひろしまではクラフトビールに関する地域の関心が寄せられた。ビアフェス横浜では莫大な種類のビールが勢揃い。World Craft Beer Tastingでは珍しい輸入ビールを味わうことができた。また、けやきひろば秋のビール祭りは家族連れで楽しめるイベントとなった。今後どのようなイベントを開催すべきだろうか?あなたのアイデアを聞かせてください!
コンペ
ビールコンテストに対し特に期待を持たないブルワーは多く、単に業界についてくるものだという認識のようだ。受賞して喜びに沸くブルワリーもあれば、一方で、単にジャッジの好みの問題だと(実際、そういうケースは時折ある)諦めるブルワリーもある。我々は、コンテストには通常ポジティブな効果があり、多くのブルワーに、より良いビールを造ろうと努力するモチベーションになると考えている。以下に我々が紹介するコンテストの結果は、経験を積んだ審査委員達によりブラインド審査を受け、可能な限りフェアに行われたものである。また、受賞に値するビールがないと判断された場合、無理に授与する必要もない。これは「みんな入賞」の小学校のスポーツではないのだ!
前号発刊以後、特筆すべきコンテストが3つ開催された。World Beer Awards、International Beer Competition、そしてJapan Craft Beer Selectionだ。WBAでは、またしても日本勢が大躍進を見せた。田沢湖ビールのラオホがWorld’s Best Flavoured Beerを、また箕面ビールのインペリアルスタウトがWorld’s Best Stout & Porterを受賞した。その他多くの日本のブルワリーが個別の部門、あるいは地域レベルで受賞した。詳細はWBAの公式サイトをチェック(www.worldbeerawards.com)。IBCの受賞については、日本地ビール協会のウェブサイトで発表されており、16カ国から252のビールが受賞している(http://www.beertaster.org)。1996年に創設されたIBCは、将来有望なアジア圏のブルワリーが、よりホームに近い場所で参加できる機会を提供し続けている。もちろん世界中からのエントリーも受け付けている。JCBSは日本ビアジャーナリスト協会、日本ビアパブ協会、グッドビアクラブ、そして弊紙が協賛する国内コンテストだ。日本のクラフトビール愛好家は公式ウェブサイトに記載の結果にいくつか馴染みのある名前を見つけることができるだろう。最多受賞のブルワリーについては・・・、集計お願いします。
日本へようこそ
前号のブルックリン・ブルワリーのギャレット・オリバーのロングインタビューにはたくさんの好反響をいただいた。多くの方がご存知の通り、ギャレットは日本を訪れ、各地で講演とビールに関わる弾丸ツアーを行った。そう、大量のビール…。彼のスケジュールは日本のブルックリンラガー醸造契約先である木内酒造でのブルワーパーティーから始まった。我々は木内酒造にブルックリンの他の定番ビールの製造許可が下りることを願っている。そして、これはお伝えしてもいいのだろうか?言わせて頂こう。近い未来、非常に面白いコラボビールが世に出るかもしれない。木内パーティーの翌日夜、ジャパン・ビア・タイムズは東京都内の高級寿司店でプライベートなペアリング・パーティを主催した。寿司とビールは合わないって?いや、幸運なゲスト達はパーティーが終わる前にもう一度やってほしいと頼んできたよ。翌日の昼はチーム・ギャレットが横浜市内のバーを猛スピードで周り、その後、馬車道グリーンで活気に満ちたパーティーが開かれた。グリーンではシェフが伝統的な日本料理にクリエイティブな工夫をこらし、目を見張るようなペアリング・ディナーを披露した。そして、素晴らしいペアリング・ディナーはどんなにやっても十分ってことはないから、なんとも、翌日も東京のcafé 104.5で開催。しかし、シェフが複雑なビールにどんな料理がマッチするかについて細心の注意を払う姿を見られたことは良い経験だった。それはシェフのクリエイティビティも刺激することだろう。
9月には、コロナド・ブルーイング・カンパニーの醸造チームが、ビアフェス横浜などいくつかのイベントに参加するため、サンディエゴから姉妹都市の横浜にやってきた。彼らは、そう、コエドビールとのコラボレーションビールも造っている。読者の皆さんはコエドとナガノ・トレーディングが輸入するもう1つのサンディエゴ拠点のブルワリー:バラスト・ポイントが今年4月にコラボしたことを覚えているだろう。横浜ベイクォーター内のバベル・ベイサイド・キッチンはビアフェス横浜前にブランチを主催し、多くの人が集まった。そういえば日本ではなぜこのようなブランチが少ないのだろう?ブランチは世界各地のビール文化に重要な役割を果たしているというのに。日本でもそろそろ広まってもいいのではないだろうか。レストラン関係者の皆さん、考えてみてください(少なくとも月一くらいはお願い!)。
クラフトビールメディア狂乱
我々ビール業界にとって、メディアの後押しが十分にあることは喜ばしいことだ。ジャパン・ビア・タイムズだけが媒体なわけではないし、またそうなるべきでもない。我々はクラフトビールの素晴らしさを広めるメディアには敬意を表す。
藤原ヒロユキが新しい雑誌の創刊に取り組んでいると聞いて我々は喜んだ。その名も『ビール王国』だ。その王国でのたゆまぬ努力を称え、藤原にはナイトの称号が与えられるべきだろう。
ちょうど、雑誌『Beer & Pub』(日本語)の秋号が発売される。素敵なデザインの本誌は、1,000円というお手頃価格で書店やアマゾンで購入することができる。
大阪では、Maek Post率いるビール奇兵隊が『Beer Zen: journal for craft beer』(限定部数、英語誌)の第2号を発刊した。地域密着型のこうした同人誌の頑張りは活気あるクラフトビール文化をよく象徴している。
日本語版では、情熱的なクラフトビールファンによる同人誌、『くらびー』(「クラフトビール」の略語)がある。ビジュアルに見て取れるその豊かな文化をアニメ・漫画ファンならば絶対にチェックしたい。
クラフトビールに関する情報拡散に貢献しているのは『グッドビアクラブ』(日本語)で、『Good Beer Times』という小さな日本語機関紙も発行しており、両国ポパイで手に入れるのが一番簡単だ。彼らのウェブサイトもチェックしよう。
海外のメディアも日本のクラフトビールシーンの盛り上がりを取り上げている。45,000人の読者を持つアメリカのビール雑誌”Beer Connoisseur Magazine”は”Traveling Connoisseur”の日本の特集記事を掲載。多くの愛飲家が日本に押し寄せることは間違いない。美しく、人気のあるこの雑誌は1号単位で購入可能だ。紙媒体のほか、ウェブサイトを通じてデジタル版も買うことができる(www.beerconnoisseur.com)。
最後に、多くの読者がご存知の、マーク・メリ教授の金字塔となる著作、『Craft Beer in Japan: the essential guide』が9月に大々的に発売された。本著は日本のクラフトビールを紹介する世界初の英語ガイドブックで、年明けには日本語版もリリースされそうだ。
ブログ界隈では、「Transporter」と「クラフトビール東京」がクラフトビール愛好家に最新の情報と小ネタを提供し続けている。まだ見たことがなければ覗いてみてほしい。また最近、我々の目に留まったのが「ビール女子」という女性による女性のための魅力的なウェブサイトだ。
映像部門では、「brewfilm.jp」がとても重要な役割を果たしている。ぜひそちらもチェックしてほしい。日本のクラフトビール文化が発展していくには、映像が不可欠な存在になるというのが我々の見解だ。
This article was published in Japan Beer Times # () and is among the limited content available online. Order your copy through our online shop or download the digital version from the iTunes store to access the full contents of this issue.