「ホップの香りを発射するキャノン砲のような形をしています」と、ドッグフィッシュヘッド・ブルワリーの創業者でありシュピゲラウのユニークなIPAグラスの開発に関わったサム・カラジョーネは表現した。
シエラネヴァダ・ブルーイングの共同創設者、ケン・グロスマンは「私共のブルワリーはホップの香りが前面に出たものに力を入れてきました。このような特徴を最大限に引き出してくれるグラスで飲むと風味の違いがはっきり分かります。私共が厳選して使っている原料による風味の細かな差異も分かりやすくなり、初心者でもマニアでも、より美味しく飲むことが出来るのです」。
ケンとサムの二人は2012年にサンディエゴで開催されたクラフト・ブルワーズ・カンファレンス会場でシュピゲラウのマット・ルトコフスキと知り合った。そしてこのカンファレンスでワークショップ(テイスティング)が行なわれた。代表的なIPAを何種類か用意し、それぞれを様々な形状のグラスでテイスティングし、どのグラスがそれぞれのIPAの味わいを最大限引き出してくれるかを調べたのである。消去法によってグラスを絞り込んだ後、グラスの形状と大きさなどについてさらに改善すべきところが無いか、シュピゲラウはサム及びケンとさらに話し合いを重ねたという。サムとケンがベストだと思ったグラスをそれぞれ無記名で選んだ結果、二人が選んだグラスは同じだった。
「パイントグラスはダメですね。側面がまっすぐな形状は積み重ねに便利なのでよく使われていますが、そのようなグラスではクラフトビアの美味しさを台無しにしてしまいます」とマットは言う。彼は最近日本にやってきてデモンストレーションを行った。その中でマットはシュピゲラウのIPAグラスと、IPA以外のビアスタイルに適したグラスを何種類か使い、その効果を証明してくれた。
デモンストレーションの参加者たちは皆その劇的な効果に驚いていたが、その一方で一部の参加者はグラスの価格がちょっと高いと感じたようだ。これについてマットは、これらのグラスが最高級の材質を使って作られていること、耐久性も高く、クラフトビアを最高のコンディションで提供できることを説明し、理解を求めていた。
一方、シエラネヴァダのケンは「私たちはビールが何よりも好きです。当社の自信作、Torpedo Extra IPAのようなビールの魅力をこのグラスで最大限味わって頂きたいですね」という。
ドイツの老舗Sahm社や国産の良質のグラスを使っていれば間違いないと考える人もいるだろう。しかしシュピゲラウはIPAグラスに変革をもたらした。我々ビール好きもビアグラスに関して新たな世界を迎えつつあるようだ。
IPAグラスが開発された経緯を紹介する動画(日本語字幕付き)を以下のサイトで見ることができる。 https://vimeo.com/62396843
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