ああ、春だ。あたたかい気候に桜の花。日本のいくつかの醸造所では桜のイーストを使ってスペシャリティ・ビールをつくっている。桜のビール、今すぐ飲んでみたいですよね?
志賀高原ビールが、2年目となるSnow Monkey Beer Liveをスキーリゾートの近くで主催し、今年も成功を収めた。クラフトビアとフード、様々なジャンルのライブ。成功しない理由がないでしょう。国内で人気の高いジャムバンドNabowaが今年のイベントでもステージに上がった。「性別、国籍、年齢、文化を問わず、いろいろな人が集まっていたけど、ほとんどのお客さんがクラフトビアで程よく酔っていて、会場の一体感が 凄いイベントでした。美味しいビールは人を束ねる力がありますね。」と、Nabowaメンバーからコメントが寄られた。リゾート地の近くでビアフェスを開催することは、とても理にかなっている。季節を夏に変えた同様のビアフェス「地BeerFest大山」が、鳥取県の大山キャンプ場近くで開催されるので、チェックしよう。
3月には京都のクラフトビア醸造会社4社と京都市外の醸造所数社による「京都地ビールフェスタ」が、今年も地下ショッピング街のゼスト御池で開催された。地下では降り注ぐ陽光を気持ち良く楽しむことはできないけれど、地下鉄駅を利用する何千という人々が素晴らしいクラフトビアの世界を目にすることができるという利点がある。このような、クラフトビアに馴染みのない人々を招き入れる機会をつくっているイベントを称讃したいと思う。また主催会社の一社であり、国内屈指のビアボトルの品揃えを誇る山岡酒店さんのそばに、私たちのブースを設置させてもらえたことに感謝したい。
3月下旬に行われたアジア・ビアカップに、ジャパン・ビア・タイムズの発行人ライ・ベヴィルとシニア・ライターの熊谷陣屋が審査員として参加した。審査はベールに覆われていて、その結果を疑わしいと思う人が少なからずいるようだ。確かにベールに覆われている。なぜなら、審査は目隠しされた審査員のブラインド・テイスティングによって行われるからだ。審査は厳格であり、ベヴィルが実際に経験したワールドビアカップの審査方法を手本にしているようだ。しかしながら、すべての人が審査結果に一喜一憂しているわけではない。話を本題に戻そう。審査会を開くことは、アジア諸国のブルワーたちに情報収集や共有のための大きな機会を提供することになる。審査会が行われる地域がクラフトビア産業発展の母体となり、間もなく世界の他の地域の人々の注目を集めるはず!
4月初旬、ベイブルーイングの鈴木真也さんがJapan Brewers Cup & Festivalを大さん橋ホールで開催した。何でもありの興味深いイベントだった。ブルース・ミュージックライブ、2つのカテゴリー(ペールエール部門/ウィート部門)だけのビアコンペティション、地元レストランの出店販売、そしてもちろんクラフトビア醸造会社20数社の出店。次はどんなイベントになるのだろう?プロレスファンは目が離せない?
最後にお伝えするのは国内トップクラスの人気を誇るクラフトビアとフードのイベント Grande Biere。おしゃれな街、東京ミッドタウンで開かれた。 DEAN & DELUCAのフードと共にビールを楽しむ。ゲストはクラフトビアの輝かしい将来を垣間見ただろう。そう、ビールとフードのペアリングだ。
海外でも日本のクラフトビア醸造所の動きがあった。コエドビールのチームが、 Ballast Pointのあるサンディエゴを訪れた。読者の皆さんは、 Ballast Pointのチームが昨年にコエドビールを訪ね、コラボレーションによって「West to East IPA」が誕生したという前号の記事を覚えていらっしゃるだろう。次のビールの名前を想像してみて?そう、「East to West」になる予定だ。
コエドビールとベアードビールは、4月に開催された香港最大のクラフトビア・フェスティバルBeertopiaにも参加した。「馨和 KAGUA」(ベルギーで醸造され、日本に逆輸入されたビール)も提供された。イベントには約5,000人の人々が詰め掛けた。香港の会場を訪れたこの5,000人が今度は日本を訪れて、日本のクラフトビアを楽しんでもらいたいものだ! ベアードビールはCopenhagen Beer Celebrationの参加に向けて準備を進めている。参加する醸造所は世界中から選ばれた精鋭。これもまた、世界の注目を日本へ向けるきっかけとなることだろう!
クラフトビア・ブーム = 相次ぐクラフトビア関連書籍の出版?
もし国内にクラフトビア醸造所が一社しか存在しなかったら、とてもつまらないだろう。ビールのスタイルがたった一つしかなかったら?きっと他のブランドが待望されるはず。そしてもし、たった一つのクラフトビア・バーに通い続けるとしたら、同じ顔ぶれに飽き飽きするに違いない。クラフトビアに関する出版物についても同じことが言えるのでは?
ジャパン・ビア・タイムズは、国内のクラフトビア産業を支えるあらゆる書籍・出版物に協力する姿勢だ。上げ潮のときはすべての船が浮かぶ、という例えのように、様々なメディアがクラフトビア産業に注目していることを嬉しく思っている。4月にビール情報サイトのTRANSPORTERがスタートした。ブロガーによるコンテンツ、日本の色々な情報を紹介するもので、同時に部数限定のフリーペーパーも発行した(www.beertransporter.com)。大阪の Maek Postさんは、6月上旬にクラフトビア情報を発信するBeer Zenを立ち上げる。地元の関西エリアの情報に焦点を当てる(http://beerzenjournal.com)。それほど多くの人に知られてはいないものの、Gardner Robinsonさんと彼のチームが発行しているバイリンガル雑誌Outdoor Japanは、2006年から定期的にクラフトビアを特集している。なんて長い歴史があるのだろう(www.outdoorjapan.com)!藤原ヒロユキさんは、ウェブサイトで日本ビアジャーナリスト協会を運営しており、日本のビールに関する豊富な情報を発信している(www.jbja.jp)。また、彼の雑誌が近日中に発行される予定だ。最後に紹介するのはクラフトビール東京(http://craftbeer-tokyo.info)。クラフトビアを取りあげているウェブサイトやブログは無数にあるが、中でもとりわけ秀逸だ。川野亮さんが管理するこのサイトは明確に関東圏のみに絞ったものだが、エリアガイドとしても卓越している。
出版と言えば6月初旬、日本のクラフトビアの総合ガイドが英語で出版される!タイトルは「Craft Beer in Japan: the essential guide」。関西大学の教授を務めるマーク・メリ氏が数年間に渡り徹底的に調査し執筆した力作だ。日本のあらゆるクラフトビア醸造所に関する基本情報と詳細な紹介記事、そして豊富な情報量を誇る論考が掲載される。ペーパーバックと電子書籍の双方で販売される。日本語版は年内に発行予定だ。注文方法やサイン会のお知らせは近日中に発表するのでお楽しみに。
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