Beer Roundup (Autumn 2015)

夏は終わった。願わくば、あなたの二日酔いも終わっていますように。我々はなにもあなたがた責任感のある読者が、ビアフェスティバルシーズンのピークに飲み過ぎてしまったと言っているわけではない。隠喩として使っているだけだ。毎週行われるビアフェスティバルに飽きてはいないだろうか。秋という、より落ち着いた時期を迎える準備はできていないか。多くのブルワーが休憩を期待しているのは知っている。

今夏行われた何十ものフェスティバルをすべて報告することはできない(5年前にはできていたが、そのころのフェスティバルの数はほんの一握りだった)が、なかでも注目すべきもののいくつかに関する所見および思いつきを共有したいと思う。

新潟クラフトビールの陣とタナバタビアフェスタトヤマは、どちらも大ヒットを記録した。商店街の屋根の下で行われるフェスティバルは、京都地ビール祭もそのひとつだが、天候に左右されない上に、開放的な雰囲気を提供するという点で素晴らしい。残念なことに、タナバタビアフェスタは、来年以降は開催されない(詳細は本誌ウェブサイト日本語版を確認されたい)。しかし、日本には商店街がたくさんある。近くのブルワリーと手を組んで後を継ぐべきだろう。

Team Brimmer at Craft Beer no Jin. Team Brimmer at Craft Beer no Jin.

会場といえば、大船観音というクールな会場を選んだ大船ビアフェスタを紹介したい。地元の販売業者、音楽、ライトショー……それらすべてを偉大なる観音様の像が見下ろしている。これ以上なにが必要だというのか? それはあなただ。来年は必ず訪れよう。

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The Goddess of Mercy, a beer fan? Who knew?

ビアフェスシリーズでは、大阪と名古屋のイベントにおいて、日本ビールの市場が多様化してきた様がよく見て取れた。毎年、世界各地からのブルワリーを代表して新しい輸入会社が参戦しているようだ。我々は「地元」を愛しているが、フェスティバルで輸入ビールがあるのも楽しい。

横浜・吉田町の本通りは7月と8月の2週間、素晴らしいブロックパーティーが行われた。地元のベイブルーイングやアンテナアメリカ、横浜ビールがビールを提供し、チャコールグリルグリーンは一日大忙しで炭火で焼いていた。こういった楽しいイベントを開催する地域が日本にもっと多くあってもいいと思う。そういったイベントはしばしば地域に新しく人を引き込むことがあるので、再活性化にも大きく貢献する。

roundup1 Ryo and Clayton of AA working the Yoshidamachi Beer Garden.

今日では百貨店ですらクラフトビールに関するアクションを採っている。東京のイオンリカー自由が丘店は大規模なクラフトビール試飲即売会を開催した。400円でさまざまなクラフトビールを試飲し放題というこのイベントは大成功に終わった。満足した来場客の多くは、幅広く用意されていた持ち帰り用のビールも小売業者から買い求めていた。特に東京や大阪においては、クラフトビールを販売する百貨店も増えている。クラフトビアベースは阪神クラフトビアフェスタを阪神梅田本店で開催した。百貨店でのクラフトビール販売は、例外でなく、標準になってきている。やっとだ。

海外のとりとめのない報告



木内酒造がサンフランシスコにバーレストランをオープンするという計画に続き、コエドブルワリーが香港にタップルームを開いたと発表した。その直後、ベアードビールが、初となる海外タップルームを豪州メルボルンに開くと発表した。東京にオープンしたよなよなキッチン2店舗が成功を収めているヤッホーブルーイングは、同様の動きを発表する次のブルワリーとなるだろうか? これらの動きは、ブリュードッグそしてミッケラーが東京に直営店を開いたのとは対照的だが、日本のブルワリーにとっては期待のできる傾向だ。海外組ももちろん歓迎だが、日本のクラフトビールの繁栄と海外での人気も願っている。

日本に輸入されている米国のクラフトビールの2銘柄が、9月に連続して大ニュースを発表し、世の中に衝撃を与えた。ラグニタスは、オランダ・ハイネケンが同社の株式の50%を取得したと発表。そして、セイントアーチャーは、ミラークアーズが同社株式の過半数を獲得したと発表した。ソーシャルメディア上では多くのクラフトビールファンが素早く反応した。遠く離れた地域のビール愛飲家は、よりよい供給と流通の可能性に喜んでいたようだ。このようなM&Aのペースは、今すぐには落ちないものと思われる。今後数ヶ月はさらなるサプライズへの心の準備をしておこう。本誌は、といえば、ルパート・マードックやウォーレン・バフェットからの買収の電話を待っている。

表紙写真にまつわる論争



本誌2015年夏号ではちょっとした論争が起こった。ソーシャルメディアで該号の表紙写真について話題にする人もいた。その写真とは、ビールを片手にヨガのポーズをとった若い女性を撮影したもの。表紙にすることで、我々は、ビールが健康なライフスタイルの一部分になれること、そしてもちろん、ビールが男性のためのものだけではないことを示したかったのである。海外のブルワーが日本のフェスティバルを訪れる際、女性参加者の割合の多さに皆驚く。女性に訴えかけることも本誌の重要な目的の一つだ。弊社社員のおよそ半数が女性で、そのなかには元体操チャンピオン、元バレリーナ、元ヨーギ(ヨガをする人)も含まれ、彼女ら全員が偶然にも同じポーズをとれることがわかった。この表紙は彼女らにも結びついている。「ビールを飲む人は、中年のひげをはやした太った白人男性である」という型にはまったイメージが世界各地に存在するが、その写真はそういうものではない。皮肉にも、中年の白人男性が、この表紙に不満であるようだ。ある若い女性の本誌ライターはこう言った。「人はたまに落ち着く必要があるのよ」。まだ怒っている人は、下記の表紙の方がより魅力的にうつるかもしれない。


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(ヘレティックの前ブルワーで、現在、自身のブルワリー、フォグライトブルーイングカンパニーを米国カリフォルニア州ロスガトスに立ち上げ中の、ウォレン・ビラップスをフィーチャーしている。写真はキャンディス・ビラップスによる)

年末前に発行予定の「マン・ビア・タイムズ」、いや「ジャパン・ビア・タイムズ」次号をお楽しみに。

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