Brooklyn Brewery Tokyo Taproom


(photo: Brooklyn Brewery's New York taproom)

ニューヨークを拠点とするあのブルックリン・ブルワリーのタップルームが、東京・日本橋兜町という賑やかなエリアにオープンするというニュースが今月飛び込んできた。とは言うものの、いろんな意味でそれほど予想外のニュースというわけでもない。キリンは子会社のブルックリン・ブルワリー・ジャパンを通じて同ブランドの取扱い及び販売を行っているほか、米国ブルックリン・ブルワリー社の少数株主でもある(因みに保有株式は25%未満のため、米国のブルワーズアソシエーションによるクラフトブルワリーの定義にも則っている)。それよりも驚いたのは、ブルックリン・ブルワリーが本場ニューヨーク以外でタップルームを出店するのは今回世界初、という事実だ。

キリンビール株式会社のプレスリリースによると、このフラッグシップ店は「B(ビー)」というシンプルな名称。Bの一文字を際立たせた象徴的なこのブランドロゴをよろしく、といったところか。「B」が出店するのは「K5(ケー・ファイブ)」という新しい施設。1923年(大正12年)竣工という歴史的なビルを現在全面改装中で、ホテルや小売店舗、植物や建築デザインなど見応えのある空間を擁した施設に大きく生まれ変わる。正式オープンは2020年2月1日の予定だが、小誌スタッフは12月下旬の内覧会で一足先に中を覗いてくる予定だ。

ブルックリン・ブルワリーにとってはグッドタイミングだ。市場全体で見ると、東京にサテライトタップルームを出した他の醸造所は、東京という人やモノが密集した大都市で成功を収めている。一方、キリンは日本の飲食店内のスペース事情を踏まえ、限られたスペースでも設置しやすい「タップ・マルシェ」というタップ・ディスペンサーを展開。その普及が功を奏し、ブルックリン・ブルワリーというブランド認知度は日本でも着実に高まっている。とは言うものの、実はブルックリン・ブルワリーの日本での歴史は長い。1980年代後半の創業から間もない頃、同社が初めて輸出した先は日本だった。当時の苦労を問われた共同創業者のスティーブ・ヒンディは次のように語る。「1989年ですよ!船便と、一部は空輸で出荷しましたね。当時の‘BY AIR FROM BROOKLYN’のシールが貼られた瓶が1本、私の手元にあると思います」

ありがたいことに、古参のファンも新規の顧客も間もなく東京のど真ん中のタップルームで、このブルワリーが世界に誇るビールを味わうことができる。開店が待ち遠しいところだが、12月の内覧会の後にまた改めてリポートするのでお楽しみに。