Defender IPA
ブルックリンブルワリーがつくるディフェンダーIPA。その秀逸なパッケージデザインが我々の目を引いたのは3年ほど前だった。本誌第27号のポストカードコーナーでも取り上げたように、ケースに描かれた醸造責任者ギャレット・オリバーの画は、漫画家として名高いカリー・ルドルフが手がけたものだ。今年初め頃、ギャレット・オリバーにインタビューを行った際には多岐にわたる話題が上ったが、ディフェンダーIPAもその中の一つだった。そのビールにまつわる話は興味深い。
オリバーは当時を振り返り、「元々、ディフェンダーIPAはニューヨークで開催されるコミックコン(コミック、ファンタジーやSFの大規模な大会)のためにつくったビールの一つでした。私たちは皆オタクで、そういったジャンルが好きなので、『公式ビール』の製造者として関われることができてうれしかったです。ビールのコンセプトは、キャラクターを作って、毎年異なる著名な漫画家に描いてもらうというものでした。瓶詰めが始まると、ラベルにもキャラクターが載るようになります。また、ビールも違うものにしたいと、ダーク(濃色)、ライト(淡色)、赤系のバージョンをつくりました。そしてとうとう、今風のアメリカスタイルのIPAをつくることにしました。ディフェンダー(守る人)はとても良い名前だということに気づき、この名前を残して、1種類だけのビールにしたらどうだろう、と考えました。そしてその通りにすることにし、ディフェンダーIPAは固定銘柄となりました」と話した。
このビールは比較的アルコールは低め(5.5%)のゴールデンIPAで、とても飲みやすい。ホップは、人気がある米国のアマリロ、シムコー、カスケードとセンテニアルの使用され、豊かな香りと、ほどよい苦味がある。すっきりとしたボディーで、南国の果実のような香りが際立ち、良質なシャンパンのような辛口の余韻が残る。
残念なことに、イラストの計画は途中で頓挫してしまった。ブルックリンブルワリーに勤めるデザイナー、スティーブン・ドイルが描いたイラストが採用されたが、ヨーロッパ(同ブルワリーの重要な輸出市場)では、漫画のような外観は、子どもたちにアピールしていると見なされてしまう。それゆえヨーロッパではイラストのラベルが使えず、市場ごとに異なるパッケージを作るのは難しいため、コミックキャラクターを使用する案は断念せざるを得なかった。
オリバーはこう話した。「ラベルは、漫画ような見た目と、1970年代風のフォントを使用したものへ変更しました。私は古い漫画本をたくさん持っているので、キャラクター無しでも昔の漫画スタイルは見ればわかります」
多くの人々が知っているように、日本はキャラクターが大好きだ。どんなものにもキャラがいる! もしかしたら、「ジャパニーズ・ディフェンダー」のイラストを描ける人もいるのでないだろうか。是非作品を本誌に送ってほしい。 オリバーに見せるのはもちろん、世界に向けて発信する予定だ!info[at]japanbeertimes.com