最近、日本が正真正銘のビール旅行の目的地になってきているという話を複数の行政関係者としていた。その関係者は、海外の人は日本のクラフトビールのことなんて気にも留めてないし、日本のビールのことなんてなにも知らないよ、というようなことを笑って言っていた。本当だろうか? もしそれが本当だとしたら、我々は本誌をもってこの状況を変えようとしている。日本のブルワーも彼らの仕事を通して、その役割を果たしている。
日本が世界のクラフトビールの舞台でますます主要プレーヤーとなってきている。例えば、日本のブルワリーは、今年のオーストラリアンインターナショナルビアアワード(AIBA)とワールドビアカップ(WBC)で、かなりの数の賞を受賞した。AIBAで16、WBCで9だ。海外のブルワーや業界関係者は、日本の健闘に注目したに違いない。日本の成功についてコメントしたブルワリーもいくつかある。ほらね、海外の人は日本のクラフトビールに注目しているだろう。
The Japanese craft beer contingency at the WBC
AIBAでは、コエドブルワリー、常陸野ネストビール、伊勢角屋麦酒が好成績を収めた。コエドは、伽羅と漆黒で二つの金賞を、紅赤で銅賞を受賞した。常陸野ネストは、銀賞を三つと銅賞を二つ受賞し、受賞数で日本一となった。伊勢角屋は銀賞を二つ、銅賞を一つ受賞し、ハーベストの丘は銀賞と銅賞を一つずつ受賞した。最後に、オラホビールがキャプテンクロウで銅賞を受賞した。
そして、AIBAよりもさらに競争が激しいWBCで、より多くの日本のブルワリーが受賞を果たした。シャトーカミヤ 牛久ブルワリー、小西酒造、那須高原ビール、箕面ビール、そして初参加のデビルクラフトトーキョーブルワリーが金メダルを受賞した。そのほかにも、ヤッホーブルーイング、伊勢角屋、いわて蔵ビールが受賞している。大手メーカーのアサヒビールでさえ、43のエントリーがあったライトラガー部門で銀賞を受賞した。
日本がクラフトビール旅行の目的地となっていることは、海外のブルワーが頻繁に訪れていることからもわかるだろう。昨年6月に行なわれたアメリカンクラフトビアエクスペリエンスというイベントにブルワーおよび業界関係者が十数名ほど訪れたのが、おそらく、もっとも注目すべき出来事だろう。今年の開催は11月である(本誌2ページ参照)。来場ゲストと大騒ぎするため、今年もたくさんのブルワーが参加するだろうとのことだ。
Last year’s American Craft Beer Experience in Tokyo’s New Pier Hall
つい最近、コロナドブルーイングのリック・チャップマン(同社代表)とブランドン・リチャード(同社販売宣伝部の統括部長)が、ナガノトレーディングが逗子で主催したコロナドビーチパーティーに登場した。実はイベント中に、この二人は逗子のヨロッコビールも楽しんだという。ジャパン・ビア・タイムズのやんちゃなメンバーが、こっそり持ち込んだらしい。逗子に入らば、逗子人らしく楽しむべし。また、ファイアストーンウォーカーの海外事業部長のエイドリアン・ウォーカー、そしてイングランドのマーフィー&サンのアリスター・イングレビーが、けやきひろば春のビール祭りに参加した。ウォーカーは自らが自社のビールをお客にふるまい、イングレビーは同イベントに参加していたブルワー向けにセミナーを行なった。我々は、といえば、飲酒という役割を果たした。
Hands on Tap- Coronado Zushi beachside party at Kuromon Cafe Nagisagoya
ビールフェスティバルの王であるドイツは非常に重要な出来事をビール史に刻んだ。本号冒頭の「Greetings」でも言及した通り、ドイツのビール純粋令が2016年で500周年を迎えたのだ。1516年に定められたこの有名な制定を祝うため、東京のドイツ大使館がビールパーティーを開いたのは当然のことだろう。ドイツ大使のハンス・カール・フォン・ヴィアテルンは、ドイツの歴史を祝って乾杯をする前に、ビール片手に手短なスピーチを行なった。その日、国際貿易の討論に参加していた彼は、大変な一日の緊張から解放され、参加者と楽しく交流していた。日本の政府関係者の中に、ドイツのビール観光旅行業がどのように成功しているのか、彼に質問した人はいるのだろうか……
Ambassador von Werthern tells us to drink a beer for each year of the Reinheitsgebot
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