Beer Roundup (Spring 2015)

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暖かい季節がやってきた。ビールフェスティバルシーズンへようこそ。防弾肝臓チョッキに身を包もう。もしくは節度をわきまえて飲もう。自分の身体に感謝されるはず。

ここ数ヶ月間に起きたハッピーで小さなビア宇宙での出来事の総集編に入る前に、我々は、この春から夏にかけて、少なくとも一つはビールフェスティバルに参加するようあなたに勧めたい。ブルワーを見つけ、話しかけよう(彼らがビールを注ぐのにすごく忙しい場合を除いて)。ビールフェスティバルは単にビールを飲んだり友達と話すためだけの場ではない。ほとんどのクラフトブルワーはフェスティバルを直接客と交流する機会であると考えていて、クラフトビール文化において重要な役割を果たしている(ビールTシャツを着たり、ふさふさの口ひげを生やしたり、もちろんピラミッドをつくることも等しく重要だ)。「クラフトビール」が実のところ何を意味しているかという疑問が増す中、フェスティバルは、ブルワーとの会話を通じてあなた自身がその答えを探る良い機会であると我々は考えている。彼らの意見を聞き出し、ビールづくりの情熱をあなたとシェアしてもらおう。メディアにクラフトビールの定義付けを任せてはいけない。本誌でさえない。ブルワー自身の声を聞こう!

しかし、バドワイザー社にクラフトビールが何ではないかについて聞くことはできる。彼らのビールはクラフトではない。彼らは誇り高い大規模ブルワリーだ。今年初め、米国において最も視聴率の高いスポーツイベント(かつ、年間で最も高額な広告)の一つであるスーパーボウルでテレビ放映された広告に、少なくともそのメッセージはあった。コマーシャルで、同社は「ハードな方法で」ビールを醸造し、クラフトビールのように「大騒ぎする」必要のないライトなラガーをつくっていると宣言した。大騒ぎとは、そのイメージ通り、匂いをかいだり啜ったりすることを意味する。クラフトビール支持者は憤怒をぶちまけた。バドワイザーのマーケティングチームはほくそ笑んでいるに違いない。彼らの筋金入りのファンである顧客基盤に訴求すると同時に、「お高くとまった」競合相手に、ソーシャルメディア上で前例のない無料宣伝をさせるよう引き込んだのだ(我々すらあなたの関心を同広告に向けている)。皮肉なことに、バドワイザーは最近、広告内で揶揄したスタイルのビールを醸造するクラフトブルワリーを買収した。同社はまた、多くのクラフトブルワリーが大手ブルワリーに対して何年も用いてきた、競合他社を軽んじるというマーケティング手法を導入した。大手がいじめっ子とは粋な話ではない。これについては、約90%のYouTubeユーザーが低評価を下した。結局のところ、バドワイザーの広告は、クラフトビールの成長の力強さに対する一種の表意であったようだ。そのハードな方法で10%の市場シェアを獲得した。

日本の大手ブルワリーはどこも、彼らがクラフトビールと評する製品や、少なくともクラフトビール風製品の新規ラインナップを発表するのに忙しい。小規模な独立クラフトブルワリーも、かなり活発に動いている。本誌の統計によれば、過去数ヶ月で10以上の事業所が醸造免許を取得したか、もしくは取得間近である。昔と大きく異なるのは、ブルワーの多くはオーナーでもある点だ。彼らのうち数人は、自家醸造の経歴を持ち、海外からの移住者である。新規小規模ブルワリーが落ち着き次第、改めて彼らについて記事にしたい。今はひとまず、幸せな貧しい生活に歓迎しよう! 小規模醸造とは「ハードな生き方」という意味だ。

国際女性共同醸造デー(IWCBD)



3月8日、国際女性共同醸造デーが行われ、コラボレーションビールづくりのため日本のクラフトビールコミュニティーから数人の女性が参加した。今年は、11の国で合計100人以上の女性が同イベントに参加。色、ホップ、IBU、アルコール度数などに関する基本指針が定められた「ユナイトペールエール」を全チームが醸造する。ピンクブーツ協会主催の同イベントは、女性の醸造への貢献に対する関心を集めることを意図して開催される。今年のチームは、(醸造現場である)ロコビアのヘッドブルワー鍵谷百代、ウォータリングホールから筒井美千子と成田希美、蔵くらの山脇沙月、Vivo! の久木野彩香、そしてスペシャルゲストとして女装に身を包んだデビルクラフトの鈴木諒(筒井の証言によるもので我々は関知しない)。来年は関東以外の地域からの参加者が増え、より大きなチームとなってほしいと思う。

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そのほかの国際ニュースでは、2月にサンフランシスコビアウィークフェスティバルが開催され、広大なサンフランシスコベイエリアからだけでなく、西海岸全土のブルワリーが同イベントに集結した。最近行われた東京ビアウィークに似ているが、その規模ははるかに大きく、600以上ものイベントがベイエリア中のバーやレストランで行われた。また、サンフランシスコビアウィークでは日本のクラフトビールイベントもいくつか開催され、複数の日本産クラフトビールが紹介された。本誌発行人であるライ・ベヴィルはビアウィークのオープニングイベントに出席し、市長や日本輸出を行ういくつかのブルワリーと同席した。多くの醸造業者は日本の安定したクラフトビールシーンの発展に以前より興味を持っていて、筆者が本誌を渡した際も興奮気味に受け取った。事実我々は刺激的なのだ。しかし、その興奮も、オークランドの人気日本食レストラン、クシドで開催されたべヴィル主催のコエドブルワリーのペアリングパーティには及ばなかった。イベントは超満員だった。数日後、彼はトラピスト近くでの日本のクラフトビールイベントに出向いた。そこでも、10以上の日本のクラフトブルワリーのビールが大勢の人々を魅了していた。

「樽生の価格を見て大笑いした。日本の人々は輸入ビールの高価格についてしばしばぼやいているが、ここでも大差はなかった。国産特別ビールがさらに高い価格で出回る市場では、人々は喜んでお金を出すようだ。私は、『日本のクラフトビールのファン』を自認する人に多く出会い、少し驚いたが、それは日本のクラフトビール、特に志賀高原ビール、箕面ビール、ベアードブルーイングやコエドブルワリーなどが自身のために築いている海外での評判によるものだ。もちろん私は、皆に日本を訪れ、地元ブルワーが提供するより良質なビールを多く経験するよう勧めている」

そう、是非とも日本を訪れてほしい。あなた方の消費税で国の歳入を増やしてもらい、我々の望むビール税減税の相殺に充てていただきたいのだ。そしてもちろん、我々はあなたにもお会いしたい!

こんな春の印象をお届けするとしよう。日本は伝統的にホップ栽培で知られる国ではないが、実は2種類のホップ、ソラチエース(サッポロが開発し、現在ではそのほとんどがアメリカで栽培されている)と信州早生の原種の故郷である。小さなホップ畑で栽培するブルワリーは複数あるが、注目すべきは、志賀高原ビール、大山Gビール、そしてベアードブルーイングである。ほかにも、希少な信州早生を使用するブルワリーもいくつかある。一年のこの時期、根茎は地面を押し上げ、その巻きひげを巻き付ける場所を探している。夏の終わりまでには、収穫に適したホップの花をたわわに実らせたどっしり太いつるに成長する。もしあなたがホップを手に入れることができたら、それらは簡単に成長し、日差しを遮る、素晴らしい緑のカーテンになる。そしてそれらはあなたにビールを思い起こさせる。悪くないはずだ。

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