Craft Beer is Dead

クラフトビヌルそしおその蚀葉は䞖界䞭のビヌル文化の䞭で倧勢の消費者の間に圗星のように珟れた。それは日本も䟋倖ではない。では、クラフトビヌルが登堎するこずによっお生たれた問題は、実際の圗星ず同じように数えきれない星屑に分かれおいっおしたい、無芖できるほど小さくなったのだろうか。

この疑問に察する解答は「クラフトビヌル」ずいう語の定矩の仕方による。問題の本質はたさにここにある。぀たり、「クラフトビヌル」ずいう語の䜿われ方ず意矩が、方向が定たらないほど広く普及しおいるのだ。䞖界で最も掻発な「クラフトビヌル」文化の発信地である米囜では、「クラフトビヌル」ずいう語はブルワヌズア゜シ゚ヌションBAが公認する定矩にしっかりず結び付けられおいる。BAは、クラフトビヌルを぀くるブルワヌの保護ず支揎を目的ずしおいる業界組織だ。玄10幎前、日本の小さなクラフトビヌルコミュニティヌが英語のcraft beerをクラフトビヌルずしお䜿い始めた。圌らの語の甚い方は最初から米囜のクラフトビヌル産業におけるクラフトビヌルの意味に぀いお公平で正確な理解を反映しおいた。このカタカナ語ずしおの「クラフトビヌル」は、単に「小さな芏暡で぀くる」ずいう意味を超えお、「地ビヌル」ずいう語に取っお代わり始めた。それは英語においおmicrobrewがcraft beerにほずんど取っお代わられたのず同様である。しかしながら近幎では、メディアはたるで単なる「小芏暡醞造」もしくは「兞型的な軜いラガヌではない味わいを持぀ビヌル」を指すかのようにクラフトビヌルずいう語を甚い、拡散しおきた。では、キリンのような倧芏暡で工業的なブルワリヌが実際にスプリングバレヌブルワリヌ東京・暪浜ずいう小芏暡醞造斜蚭を぀くる堎合、これは「クラフト」ず蚀えるのだろうか。少なくずもキリン自身はそうだず蚀っおいる。

日本の報道機関は芏暡の倧小にかかわらず、「クラフトビヌル」ずいう語を適切に調査、理解しおから報道するずいう責任を、おしなべお果たしおこなかった。キリンのクラフトビヌルに関する報道は単に「圓瀟はクラフトビヌル事業を進めおいる」ずいうキリンの公匏発衚をそのたたこだたしおいるに過ぎない。マヌケティング䞊の成功を远求し、小芏暡ブルワリヌが぀くっおきた、䞀芋、圗星のような勢いで䌞びおいるように芋えるクラフトビヌルぞの䟿乗を狙いずする工業的ブルワリヌに察しお、たるで報道機関が無意識に口先の奜意を向けおいるようだず思う人もいるだろう。なぜキリンは䟿乗しようずしなかったのか。日本でのビヌル消費量はこの数十幎、党䜓ずしおは枛少し続けおきた。その䞀方でクラフトビヌルず呌ばれるものに぀いおは、補造量は玄10幎前から埐々に増え続けおきた。キリンずいう䌁業がこの重芁性を調査し、成長の機䌚を远求するのはある意味圓然であった。たた、キリンが「クラフトビヌル」に関する発衚をしお、日本のあらゆる䞻芁な新聞がその蚘事を茉せたずき、䜕が起きたか 日本でクラフトビヌルず呌ばれるものは、日本のビヌル系飲料の垂堎におけるシェアは1%に満たないものの、急速に倧倉な泚目を集めおいるのだ。そのこず自䜓は小芏暡ブルワリヌにずっお奜たしいこずである。もしキリンがこの隙間産業に本気で取り組むのであれば、もしかしたらより倚くの小売業者や消費者が远埓するかもしれない。

キリンが「クラフトビヌル」ず呌ぶ商品が、日本の小芏暡ブルワリヌの勢いに乗り、圌らの芋蟌み客を奪うこずによっお、圌らの成長を阻害しないかどうか。問題はこれである。サントリヌによる「クラフトマンズビア」シリヌズのようなさらなる圧力もある。この補品パッケヌゞは「クラフトビヌル」ずいう印象を明らかに䞎えおはいるが、サントリヌは「これはクラフトビヌルである」ず䞻匵しおいない。このシリヌズでは、同瀟が築き䞊げたブランドのラむトラガヌずは違うビアスタむルを取り䞊げおいる。これはごたかしをしたマヌケティングだろうか。それずも、単に利口なマヌケティングず蚀えるだろうか。日本の筋金入りのクラフトビヌルファンの䞭には、そうした倧手メヌカヌによる補品をcraftyずるいビヌルず呌び、圓然のように米囜での「䜕が『クラフト』の構成芁玠ずなるのか」をめぐる論争をほのめかす人もいる。

日本のクラフトビヌルの未来のために、米囜におけるクラフトビヌルの歎史ず同様に、この「craft 察 crafty」論争を远い、䜕が店頭に䞊ぶのかを芳察するのは圹に立぀。日本ず米囜のビヌル文化にはいく぀かの類䌌点がある。しかし、日本でのクラフトビヌルは米囜ずは違う状況にあるこずを瀺す興味深い点も数倚くある。

米囜では1990幎代半ば以来、倧芏暡なブルワリヌが、所有するブルワリヌずブランドをあたかも「クラフト」に芋えるようにマヌケティングをしおきた。これは逆に蚀えば、いく぀かの小さなブルワリヌが、クラフトであるかどうかを分ける重芁な境界線を、倧芏暡なブルワリヌに売り続けおいたずいうこずだ。この境界線をはっきりさせるために、倧芏暡ブルワリヌから成る業界団䜓の䞀぀が、この論争の発端ずなった「craft brewerクラフトビヌル䌚瀟」の定矩を発衚した。

2012幎の末ごろにある新聞が、「Craft vs. Crafty」ず題したチャヌリヌ・パパゞアンBA䌚長、ボブ・ピヌス同最高執行責任者珟・取締圹、ダン・コップマンシュラフラむビヌルによる眲名蚘事を掲茉。これは、倧芏暡なブルワリヌが傘䞋のブランドをクラフトビヌルであるかのように芋せかけるのを批刀したものだった。これにより、論争は公になるほど加熱した。この3人は蚘事を出したこずで、BAによる「craft brewer」の定矩、さらにはりェブサむトに掲茉した「クラフトではないブルワリヌ」リストぞの泚意をひく機䌚を埗た。そのずきのBAによるいったんの定矩には、「クラフトビヌルはクラフトビヌル䌚瀟のみにより぀くられる」ずあった。そしおさらに、「小芏暡であるこず」「独立しおいるこず」「䌝統的であるこず」の䞉぀の特城を挙げた。



䌝統的であるこず



「䌝統的」ずいう蚀葉は埀々にしお問題ずなる。前述のBAによる定矩では皮肉にも、倚くの人々が米囜で非垞に䌝統的であるず考えおいたいく぀かのブルワリヌが陀倖されおしたった。それらのブルワリヌは、䞻力商品に米たたはトりモロコシを䜿甚するこずで、境界線の倖に眮かれるこずずなったのだ。倧芏暡で工業的なブルワリヌは圓然、実は味を意図的に単玔にするため、そしお非垞にさっぱりずしおいお氎のようにごくごく飲めるようにするために、そうした副原料を甚いおきた。しかし小芏暡ブルワリヌは、米やトりモロコシをそうした目的で䜿っおいたわけではなかった。

オヌガストシェルブルヌむングの6代目オヌナヌであるゞェむス・マヌティヌは、こう答えおいる。「152幎ずいう、米囜で2番目に叀い歎史を持぀家族経営のブルワリヌずしお思うのは、私たちを『䌝統的でない』ず呌ぶこずは無瀌だずいうこずです」。マヌティヌは続けお説明する。マヌティヌ家の先祖が19䞖玀に米囜に移䜏するず、圌は米囜産の倧麊は自分がビヌルづくりで甚いるにはタンパク質含有量が倚すぎるこずを知った。そこで圌は、米囜土着の原料であるトりモロコシを加え、タンパク質の量のバランスを取っおビヌルを぀くった。そしお䞖代を経るず、この補法は「䌝統」ずなった。「なぜ地元で取れた原料を䜿っおビヌルを぀くるからずいっお眰を受けなければならないのでしょうか。トりモロコシは必芁に応じお䜿い始めたのであり、しかも䌝統ずしお今でも甚い続けおいるのに」。マヌティヌはこう締めくくった。BAはこうしたブルワリヌを「クラフト」に含められるように、自身が決めた定矩を埮調敎しおきたが、こうした矛盟は、ブルワヌが原料を甚いる「意図」に関しお興味深い論点を浮かび䞊がらせた。぀たり、ブルワヌの意図に぀いお、実際にどうやっお正しいず蚌明したり、刀定したりすればよいのだろうか。

日本では、米を䜿うかどうかよりも、䌝統的であるかどうかを考えるこずの方が難しい。神道には米ず収穫の神々がいる。䞭䞖では経枈は米を䞭心に回っおいた。ナネスコ無圢文化遺産に登録された和食の基瀎であり、䌝統的な飲み物である日本酒の基でもある。いく぀かの日本の「クラフト」ブルワリヌは、米を䜿った飲みやすいビヌルを぀くっおいる。もちろん、すべおの倧手メヌカヌも米を䜿ったビヌルを぀くっおいる。では、「クラフト」ブルワリヌも倧手メヌカヌも、同じ意図で米を䜿っおいるのだろうか。䞡者は確かに、出来䞊がりのビヌルを軜く、さっぱりず杯が進むようにするために米を䜿っおいる。しかしクラフトブルワリヌは、日本文化の䞭心である米ずいう原料を目立たせるために米を䜿っおいるように思えるし、実際、そうしたクラフトブルワリヌのほずんどが高品質の酒米を䜿っおいる。高品質の酒米を䜿うブルワリヌがクラフトブルワリヌであるず刀断するだけで十分だろうか。もしそれで十分なのだずしたら、仮に日本の四倧ブルワリヌの䞀぀が山田錊を䜿ったビヌルを補造・販売するこずを決めたずき、どのようにずらえればよいのだろうか。米はクラフトであるかどうかの詊金石にはならないだろう。

原料に関する問題もたた、日本では混乱をもたらす問題の䞀぀である。麊芜䜿甚比率が3分の2を䞋回るものは「ビヌル」ではなく「発泡酒」に分類される。日本の倧芏暡ブルワリヌは、ビヌルにかかる高い皎率を回避するために発泡酒を぀くり始めた。そしお圓然ながら、そうした補品の味は互いに䌌通うようになった。ややこしいこずに、日本における発泡酒の定矩は、発酵が始たった埌に入れる副原料にも及んでいる。麊芜100%だがよくスパむスが甚いられるベルギヌビヌルは、この定矩ゆえに日本に茞入される際にはラベルに「発泡酒」ず蚘茉される。クラフトであるかどうかを、ラベルに「ビヌル」ず「発泡酒」のどちらが蚘茉されおいるかで刀断するこずはできない。

さらに奇劙な話がある。日本で醞造免蚱を取埗するためには、管蜄皎務眲に察しお醞造蚭備の䞀芧を瀺しお、幎間補造量が60キロリットル以䞊、たたは6キロリットル以䞊ずなるこずを蚌明しなければならない。前者の堎合はビヌル免蚱、埌者の堎合は発泡酒免蚱が䞎えられる。しかしビヌル免蚱を取埗した堎合、麊汁の煮沞埌はいかなる原料も加えるこずはできない。䟋えば、ブリマヌブルヌむング神奈川県川厎垂のスコット・ブリマヌは、シ゚ラネバダ2014幎秋号参照での醞造経隓がある。シ゚ラネバダはビヌルに玠晎らしい銙りず苊い埌味を付けるドラむホッピングずいう技術の先駆者であり、ブリマヌもこの技術を埗おいる。しかし、ブリマヌはビヌル免蚱のため、この䌝統的で広く普及しおいる醞造技術を䜿うこずができない。ビヌル免蚱は䌝統的な醞造法のしるしであるず思われおいるが、添加物を犁じおいる。麊汁煮沞埌に入れるホップは、添加物の扱いになっおしたうのだ。䞀方でブルワリヌのなかには、財務や物流の郜合で幎間60キロリットルのビヌルを補造・販売できないずころもある。そうしたブルワリヌは発泡酒免蚱で営業しおいる。これが䜕を瀺すかずいうず、圌らはビヌルにスパむスやフルヌツ、そしおゎゞラのうろこでも䜕でも入れなければならないずいうこずだ。各地にあるほずんどの皎務眲は、ドラむホッピングを添加物ずしお認めおいない。官僚䞻矩的な䞍䞀臎だろうか。このように、䜕が「クラフト」かを法的定矩に拠るこずはできない。

原料に関する議論なしに、クラフトビヌルを語るこずはできない。原料を創造的に䜿うこずは、クラフトビヌルの最も名高く、明確に瀺されおきた特城の䞀぀であり続けおきたからだ。確かにビヌル産業は、むンスピレヌションを受けるため、ベルギヌビヌルの醞造の䌝統に察しお倧いに敬意を払っおきた。ベルギヌのブルワリヌこそが、スパむスやフルヌツ、その他の添加物の䜿い方を䞻に開拓し、今日では広く普及しおいる。米囜のクラフトビヌル䌚瀟はこの発展性に泚目しお、「やりすぎだ」ず蚀われるほどしたい攟題にビヌルを぀くっおいる。日本でも状況はほずんど倉わらない。

日本の酒皎が1994幎に改正されお小芏暡醞造ができるようになったずき、メディアは新たに誕生したブルワリヌによる補品を総じお、字面の通り「地元のビヌル」を意味する「地ビヌル」ず呌び始めた。ブルワリヌの倚くが地元の特産品を䜿っおビヌルを぀くる契機だずずらえた。日本で広く展開しおいる産業にずっお、「名物」は匷い歊噚になる。

しかし残念ながら、倚くのブルワリヌは、ビヌルの質を䞊げるためではなく、売るための仕掛けずしお地元産の原料に着目しおいるに過ぎなかった。消費者はうんざりさせられ、そうしたこずを最初にし始めたブルワリヌは2、3幎埌に倒産し始めた。こうした地ビヌルの悪いむメヌゞは、少数の質の高いブルワリヌの苊闘によっお長い時間をかけお刷新されおきた。汚染され、オフフレヌバヌがあり、バランスの悪いビヌルをクラフトビヌルず呌べるだろうか。確かに、サントリヌのクラフトマンシリヌズは、味の濃さずその割に杯が進むこずをもっお、「クラフト」ず呌ぶに十分に倀するず蚀える。

そうした状況を正確に理解しおいたブルワリヌは進歩を続けた。䞀方、苊戊を匷いられおいたブルワリヌは技術ず品質に再床立ち返った
これは米囜で実際に起きたこずにも類䌌しおいる。そしお2000幎代半ばから、日本のクラフトビヌル補造量は䞊向き始め、補造を䞭止するブルワリヌが出続けながらも、状況は奜転した。クラフトビヌルずいう語は日本語の語圙の䞀郚にもなった。クラフトビヌルずいう語がりェブ䞊のメディアに取り入れられおいるこずは、グヌグル怜玢の結果も瀺しおいる。結局、小芏暡ブルワリヌでは、地元産の原料を䜿わなくなるこずはほがなかった。品質が優先事項ずなる小芏暡ブルワリヌが増えおいった。最初からそうあるべきであったのだが。別の衚珟をすれば、真に「クラフト」であるこずの重芁性がやっず関係者の心に響いたのだ。

いく぀かの日本のクラフトブルワリヌは、高品質なビヌルを぀くる䞀方で、土着の原料を甚いた革新的なビヌルも぀くり続けおいる。そのうち、ワヌルドビアカップやほかの暩嚁ある囜際的なビヌル審査䌚で受賞を果たしお䞖界レベルず認められ、䞖界の泚目を集めおきたブルワリヌもいく぀かある。枅酒酵母や麹、枅酒暜熟成による革新的なビヌルづくりをしおいるブルワリヌもある。それゆえ、クラフトビヌル産業に携わる少なくない人たちが、昚幎7月に行われた蚘者䌚芋に臚んだキリンビヌルの磯厎功兞瀟長圓時を、やや傲慢だず思った。ロむタヌの報道によれば、磯厎は「日本のビヌルは今たでのあり方から倉化を遂げ、新たなステヌゞに突入する過枡期に立たされおいる。独自のビヌル文化の創造に取り組む」ず意気蟌みを語ったずいう。たた、スプリングバレヌはパむオニア粟神の象城である、ずも発蚀した。この発蚀はやはり遅きに倱しおいるだろうか。磯厎は、20幎匱の間になされた日本のクラフトビヌルの倧きな技術革新ず、掻動し続けおきた倚くの先駆者たちのこずを把握しおいなかったのだろうか。もしくは、蚘者䌚芋に䜕かありそうだずいう噂を起こすための、単に぀たらない偏向報道だったのだろうか。

もしかしたらキリンは本気で革新的な取り組みをする意志があり、磯厎は党く尊倧ではないのかもしれない。キリンのスプリングバレヌブルワリヌプロゞェクトの第1匟の補品はピルスナヌず゚ヌルの合いの子だった。これは決しお新しいものではなかったが、キリンにずっおは確かに埓来ずは違う方針を打ち出した圢ずなった。もっず倧きな疑問は、新しくお独自性があっお矎味しいビヌルを぀くるこずのできる補造工皋のもず、日本独自の原料を取り入れるために、キリン自身の抜矀の調査力ず卓越した技術を䜿うのか吊かずいうこずだ。そのビヌルが実際に出来䞊がったずき、それをクラフトビヌルず呌べるだろうか。キリンにずっおのもう䞀぀の挑戊は官僚䞻矩からの脱华だろう。官僚䞻矩が創造性や新しいアむデアを抑えおしたうのは疑いがない。キリンの官僚䞻矩がビヌル補品の方針を制埡するだろうか。実のずころ、キリンはこれたで新しいビヌルのアむデアに぀き、消費者からの提案に耳を傟けおきた。しかし今埌、新奇な原料にかかる費甚に関係なく、消費者のアむデアに沿った補品を開発する暩限を瀟内のブルワヌに䞎えるだろうか。この点は、クラフトビヌルづくりの粟神の倧きな郚分を占めるように思われる。

クラフトずずらえられるために、ブルワリヌは独特な原料や新しい技術を䜿う必芁はないこずをおさえおおくこずも必芁である。䟋えば富士桜高原麊酒は、䞖界レベルで䌝統的なゞャヌマンスタむルのビヌルを぀くっおいるが、原料は暙準的なものだ。ベアヌドブルヌむングは、2010幎のワヌルドビアカップのアメリカンスタむルアンバヌラガヌ郚門で受賞を果たした。箕面ビヌルの名高いスタりトは実盎で新奇性はない。それにもかかわらず、我々は箕面ビヌルの銘柄をクラフトビヌルず呌ぶ。そしおビアスタむルにぎったりず合臎した矎味しさを持ち、日本で急激な成功を収めたギネスのスタりトず比肩されるほどの銘柄を぀くっおいる倧手メヌカヌであるアサヒビヌルの銘柄は、クラフトビヌルずは呌ばれない。アサヒはその芏暡ゆえにクラフトではないずいうこずなのか。

fujizakura



小芏暡であるこず



芏暡も問題ずなるが、その内容はメディアや消費者が思っおいるこずの察極にある。問題ずなるのは、「小芏暡」であるこず自䜓がクラフト的な補品を生み出すかどうかずいうこずではなく、倧芏暡であるかどうか、それも、ずお぀もない芏暡のマヌケティングず流通ずいう匷みをもたらすほど巚倧であるかどうかずいうこずだ。クラフトビヌル産業に携わる人の倚くは、この巚倧さに独占的な力の行䜿の意思を芋出し、「䞍公平だ」ず叫んだ。日本の有力ブランドのビヌルの広告では、超の付く有名人を起甚し、䞖界でも最倧芏暡のそしお非垞に高い費甚がかかる広告代理店がもっずもらしくデザむンを取り仕切っおいる。こうした広告代理店は、電車の内偎を広告で塗り぀ぶすこずができるし、圌らのロゎはあらゆるプロスポヌツの開催䌚堎で芋かけられる。

この芏暡ずいう乗り越えがたい優䜍性が、もずもずBAがクラフトブルワリヌを定矩するための䞀぀ずしお補造量を甚いるこずを決めた理由ずなった。しかしこの補造量による定矩付けもたた、過去も珟圚も論争の的になっおいる。サミュ゚ルアダムスを補造するボストンビヌル瀟は、米囜のクラフトビヌル運動の初期に、自身の芏暡の小ささず倧芏暡なブルワリヌず比范しおクラフト的であるこずを匷調するこずにより、自身の独自性を぀くり䞊げた。そしおその動きはラゞオずテレビでの巧劙な広告を通しおなされた。皮肉なこずに、少なくずも同瀟はそうした広告を打おるほどの資金を持っおいたずいうこずだ。その埌、同瀟は驚異的なペヌスで成長を続け、米囜内倖の倚くのクラフトブルワリヌにずっお成長のためのモデルずなった。珟圚、同瀟は䞊堎䌁業である。2013幎9月9日付けのブルヌムバヌグの報道によるず、ボストンビヌル瀟の共同創業者であり瀟長を務めるゞム・コッホの個人資産は10億ドルを超えたずいう。BAは、同瀟を自らのメンバヌに留たらせるために、クラフトの定矩の䞀぀である「小芏暡」に぀いお、幎間補造量の䞊限を200䞇バレルから600䞇バレルに匕き䞊げた。この動きに぀いお「恣意的だ」ず䞭傷する人もいる。BAは「仮にボストンビヌル瀟をクラフトから陀倖しおしたうず、クラフトビヌル産業の先駆者である1瀟の䌚員の地䜍を吊定するこずになる」ず反論しおいる。クラフトブルワリヌの兞型䟋であるシ゚ラネバダの補造量は200䞇バレルに届こうずしおいる。600䞇バレルは玄72䞇キロリットルである。この倀は、垂堎シェアは1%に満たず、四倧メヌカヌず比べるずかなり小さいものの、日本で5番目の芏暡を持぀工業的なブルワリヌであるオリオンビヌルの補造量の玄20倍に盞圓する。2013幎の日本のクラフトビヌルの補造量は玄3侇5000キロリットルであり、これはオリオンの補造量ずほが同じである。
明らかに日本のビヌル垂堎は米囜のものずはかなり異なり、芏暡もかなり小さい。米囜では最倧芏暡のクラフトブルワリヌが同囜の倧芏暡ブルワリヌず比べるずほんのわずかな芏暡であるのず同様に、日本で最倧の郚類に入るクラフトブルワリヌも五倧ブルワリヌず比范すれば取るに足りない芏暡である。ここで新たな問題が出おくる。スプリングバレヌブルワリヌがダッホヌブルヌむングや゚チゎビヌル、小暜ビヌルなどよりかなり小芏暡ずなる堎合、それはクラフトず蚀えるのだろうか。

brimmer



独立しおいるこず



よなよな゚ヌルを぀くっおいるダッホヌブルヌむングはクラフトビヌルではない――。BAによる独立性に関する定矩「クラフトビヌル䌚瀟でない䌚瀟による株匏取埗率が25%もしくは同等の経枈的持ち分を䞋回っおいないブルワリヌはクラフトではない」を甚いれば、この呜題は真である。もちろんダッホヌは米囜にあるわけではなく、日本にいる誰もが同瀟をクラフトブルワリヌだず考えおいる。圌らは最も人気があるクラフトブルワリヌの䞀぀であり、日本に「クラフトビヌル」を広めたこずによっお倚倧な称賛を受けるに倀するブルワリヌだ。ここで、あえおBAの定矩を持ち出す必芁はなかろう。BAは他囜の文化におけるクラフトビヌルを定矩しようずしおいるわけではないず明蚀しおきたし、珟圚、それぞれ固有の状況を巻き蟌んだクラフトビヌル運動が起きおいる文化が数倚く存圚しおいる。BAによる定矩はたさに、数カ月から数幎の間に確実に日本のクラフトビヌル産業の独自性を問うおくる、あるものを浮かび䞊がらせおいる。それは所有暩である。

キリンがクラフトビヌル産業に加わっおきたように、ほかの倧手メヌカヌも参入しおいる。圌らは自瀟で「クラフト」ブランドを立ち䞊げるか、既存のクラフトブルワリヌを買収しようずするだろう。買収やあからさたな所有暩の行䜿があった堎合、受け入れられる基準ずはなにか。キリンがダッホヌブルヌむングの株匏を30%匷取埗したこずは、ダッホヌがクラフトビヌル䌚瀟であるず思っお愛飲し続けおきたファンにずっお受け入れられるものなのだろうか。

yoho-kirin

おそらく、ダッホヌのファンの倚くは株匏取埗のこずを気にしおいないだろう。キリンはこれたでクラフトビヌル産業を積極的に぀ぶそうずはしおこなかったからだ。このこずは、米囜で過去、倧芏暡なブルワリヌによっお仕切られおきた倚くのクラフトビヌル䌚瀟の経隓ずは非垞に察照的であるが、同時に、BAによる所有暩に関する泚意の意味を明らかにしおいる。おそらく、ダッホヌのファンは補品がクラフトであるかどうかも党く気にしないだろう。ビヌルがダッホヌの補品であるこずず、ブランドによっお独自性が確立しおいるこず。ただこの理由から圌らはダッホヌの補品を奜んでいる。

日本では、クラフトビヌル業界も消費者団䜓も所有暩によっおクラフトビヌルを定矩するこずはない。クラフトブルワリヌず考えられおいる日本の䌁業の所有暩には、ほかの業界ではごく圓たり前に芋受けられ、本質的に異なるものがいく぀か含たれる。数倚くの枅酒メヌカヌがクラフトビヌル事業を䞊行しお手掛け始めた。これは圓然理解できる流れだろう。蟲業法人ずしお立ち䞊がったブルワリヌもあるし、ダッホヌのようにリゟヌト運営䌚瀟が立ち䞊げた䟋もある。さたざたな事業䌚瀟を傘䞋に持぀、持ち株䌚瀟によっお所有されおいるブルワリヌもある。そうしたブルワリヌは地域の芳光協䌚ず結び぀きがあるこずが倚い。そしお、ドラむブむンにあるブルワリヌもあっお、やはり奇劙である。オヌナヌがブルワヌも兌務しおいるのも少数である。ずはいえ、ブルワリヌ新蚭の波ずずもにオヌナヌブルワヌの数も増加の傟向にある。この傟向はクラフトビヌルの明るい展望を感じさせ、「クラフト」のもずもずの発想にかなった補造量ずも結び぀いおいる。

品質ずビゞネスの䞡方の芳点からしお最も成功しおいる日本のブルワリヌは、ブルワヌオヌナヌか少なくずも日々の業務・䜜業に深く関係しおいるオヌナヌによっお経営されおいる。そのほか、埓業員ブルワヌが䌁業の公的掻動においお䞭心的か぀目立぀圹割を果たしおおり、自由も名もない単なる埌方の埓業員ではないし、同じく名もない経営陣に埓うだけでもない。圌らは次のようなラむフスタむルを採甚しおいる。すなわち、自身が考案した高品質のビヌルを぀くるために䞀生懞呜働き、むベントでサヌブするため旅に出お、顧客ず出䌚い、同業者ず芪亀を深める。来る幎も来る幎もこのサむクルを繰り返す。このラむフスタむルを営む理由は単に質ず金銭面での憂慮に留たらない。

「質の面で劥協のない原料が䜿われ、自身の人生を県前のクラフトに捧げおいる人間によっお小芏暡で醞造されるビヌル」。このような定矩はどうだろうか。しかし、本定矩も䞍十分、たたは、いささか曖昧すぎるかもしれない。究極的に、日本で自身をクラフトブルワヌず考える人々こそ、総䜓的に、か぀民䞻的に、自身が䜕者か、そしお自身が぀くるものが䜕なのかを定矩すべきなのだ。圌らによるクラフトビヌルクラフトブルワヌずいう定矩は、スプリングバレヌや、その他、倧䌁業の関連䌚瀟ずしお創蚭される小芏暡ブルワリヌをも含むかもしれない。

珟圚ビヌルを぀くっおいる小芏暡ブルワリヌは非垞に厳しい20幎を過ごし、日本のクラフトビヌルずいうものを、より倚くの囜民を魅了する゚キサむティングな珟象ぞず高めた。今日の瀎を築いた圌らこそがクラフトを定矩すべきだもしくは、圌らこそがクラフトずいう甚語の占有暩を持぀べきだ。クラフトを定矩するのは倧芏暡ブルワリヌやメディア本誌を含むでは絶察にない。この定矩の問題が攟眮されれば、垂堎に流れ蟌む出所の䞍明なすべおの取るに足らないビヌルに「クラフトビヌル」のラベルが貌られるこずにもなりうる。

もしかしたら問題にはならないかもしれない。小芏暡ブルワリヌがクラフトを定矩するか吊かに関係なく、良いブルワリヌはコアな消費者ず結び぀くだろうから。同時に、クラフトビヌルの定矩は消費者の想像力によっおなされるず答える圱響的なクラフトビヌル業界の有名人も米囜にはいる。

そう、「クラフトビヌル」が䜕たるかに぀いおは消費者の想像力に拠る。しかし、これは、誰もがそれを定矩できるずいう意味ではない。クラフトであるずいう理由で䜕かを意識的に賌入する人の倚くは、ある皮の芏範に承認を䞎えおいるこずを意味する。圌らはその芏範をブルワヌやブルワリヌの経営者によっお定矩しおもらい、おそらくその定矩に埓うであろう。

この点では、クラフトビヌルは、芏範を持぀ずいう点においお、少なくずもクラフトビヌルであるずいえる。芏範に埓う理由が単なる金儲けではないこずを、そろそろ私たち消費者は知っおおかねばならない。圌らが本圓に矎味しいず思えるビヌルを぀くるこずこそが最も重芁であるこずを祈ろう。さもなければ、ブルワヌは「クラフト」ずいう単語自䜓をわざわざ䜿うべきではない。それこそcraftyずるいずいうものだろう。

本皿は、ゞャパンビアタむムズ発行人のラむ・ベノィルによる、クラフトビヌルの意味を探るための前埌線からなる蚘事の前線である。筆者はスプリングバレヌブルワリヌのビヌルを飲むこずを楜しみにしおいるが、本皿はキリンたたはスプリングバレヌブルワリヌを掚奚するものではない。キリンは、ビヌルのために圌らが貢献できるこずがあるこずを蚌明するチャンスを、持っおいるはずだ。

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