Looking Back: Best of 2013

昨年は日本のクラフトビールシーンにおいて極めて重要な年となった。Japan Beer Times監修による「ベスト・オブ・2013年」リストにおいては、「素晴らしい2013年」に貢献するものがいくつかあると私達は認識している。「ベスト」リストは常に議論の余地があり、個人の感じ方に拠るところが多いことは承知の上。「これぞ」というご意見をお持ちの場合は是非ご意見をお寄せ下さい!(注:私達の選択は広告やパートナーシップとは一切関係がありません)

ベスト・ブルワリー賞: 箕面ビール(大阪府)

2012年末、家長・大下正司が突然逝去した後、忙しく、社会的な繋がりが強い箕面ビールを取り巻くビジネスに一体何が起こるのか、不安が広がった。当時の工場長で娘の香織里は会社を経営するプレッシャーに対処することができるのか。彼女とそのチームは2013年を乗り切っただけでなく、成功を収めた。多くの最高ビールの品質を安定させて、これまでに幾つもの名誉ある賞を獲得したのだ。大阪にあるタップルーム、BEER BELLYは箕面ビールの顧客の基盤を造り続け、また箕面のブルワー達はフェスティバルやイベントへ頻繁に参加した。今年、箕面ビールより大きな新発表がある予定。お楽しみに!

準優勝: ベアードビール(静岡県 沼津)

毎年優れたビールを安定的に造り続けることすら難しいのに、ベアードビールは素晴らしい季節限定ビールを次々と送り出していて、そのペースは他の国内ブルワリーの追随を許さない。また、まるでそれだけではベアードを認知してもらうには足りないとでもいうのか、4つのタップルームも運営している。品質基準を維持する一方、巨大な新しい醸造所を建設中でもある。ストレス下で冷静に言ってみると、Angry Boyからは思いがけないものが飛び出してくるかもしれない。

ベスト・ブルワー賞: ???

この件については内輪で議論を尽くしたものの答えは出なかった。(有能なチームに支えられて)昨年、実に素晴らしいビールをいくつかリリースした志賀高原の佐藤栄吾が有力候補だった。しかし佐藤はベアードビールのクリス・ポールを、常に新しいアイディアを創造し続ける彼を超えただろうか?また、世界屈指のドイツスタイルビールを幾度となく醸造してきた富士桜の宮下天通はどうだ?伝統的なジャーマンスタイルしか造らないからといって彼を無視するのはいかがなものか。またあるスタッフは伊勢角屋の中西正和を推した。イベントに追われ究極的に忙しい年だったにもかかわらず継続して優れたビールを造り続けたからだ。結局、私達は決めることができず、また多くのダークホースの中から1つに絞ることもしなかった。

準優勝: 筒井貴史(湘南ビール、神奈川県)

あなたが最後に耳にしたのはいつだろう?「ワオ。湘南ビールの筒井貴史は偉大なブルワーだ」という言葉を。総じて素晴らしいビールを造り、多くの受賞経験があるにもかかわらず(ワールドビアカップを含む)、この若い醸造士にふさわしい称賛を送る者は一握りに留まるようだ。

ベスト・セラーマン/セラーウーマン賞: 城戸弘隆、ポパイ(東京都 両国)

70ものタップのクラフトビールを管理するのは生半可なことではない。しかしこれはただの数字ゲームではない。城戸は設備を清潔に維持し、最高の状態で稼働させると同時に、それらを通じて注がれるすべての素晴らしいビールに深く精通している。彼に好みの種類のビールを伝えれば瞬時におすすめをいくつか挙げてくれる。さらに城戸は私達の「Beer Curiosity」コラムを当初3年にわたり快く執筆してくれた。昨年1月のYokohama Winter Beer Bashでは、彼の貢献を一般に認識してもらえるよう願ったが、当日のアクシデントでめちゃくちゃに…。そこで城戸さん、今日こそあなたの日です。あなたの素晴らしい仕事すべてに感謝しています。何千ものファンを代表して。

準優勝: デデ、グッドビア・フォウセッツ(東京都 渋谷)

デデをデデ足らしめているものは、彼が管理しなければならない40タップと大きなボトルセラーだけではない。国内のものであろうが、ベルギーやアメリカからの輸入ものであろうが、彼は自身が提供するビールについて熟知している。彼はクズをサーブしないセラーマンだ。(ヒント: 次回訪れる際には「Dede’s balls(デデズボール)」をオーダーしてみて)

特別賞: 谷和、クラフトビアベース(大阪府)

バー・カフェ・ボトルショップのクラフトビアベースは、国内ものに加え、ベルギーとアメリカ輸入ボトルの豊富なセレクションを揃えている。この成功に続き、谷は「CRAFT BEER BASE Seed」という素敵で小さなクラフトビール店を阪神百貨店の一角にオープンした。

ベスト・バー賞: ポパイ(東京 両国)



私達はポパイに授賞しない理由を考えてみた。この場所が嫌いだからではない。当たり前すぎるように思えたからだ。クラフトビール愛飲家たちにとって、「1ヶ所しか行くことができないならポパイに行くべき」は一般的な合い言葉であるようだ。確かに城戸(上記「ベスト・セラーマン」)と70のタップがポパイをポパイ足らしめているが、それだけではない。ポパイは常に心地良い活気に湧いている。良い気分で店を後にすることができる。食事は衝撃的なものではないが、間違いなく手頃なパブ飯であるといえる。一方、スタッフはスイス製時計のように正確に働き、オーダーを間違えたり、待たせたりすることもほとんどない。自身の引退や地元新潟での特別プロジェクトといった理由により、オーナーの青木辰男が現場で過ごす時間が少なくなっているのは公然のところだろう。しかし、それはこのチームがより強固であることを示しているに過ぎない。

準優勝: クラフトヘッズ(東京都 渋谷)

このチョイスは間違いなく賛否両論を呼ぶだろう。クラフトヘッズはちょっとお高めであると思う人も少なくないが、彼らより優れたインポートおよび国内クラフトビールのタップセレクションを持つバーは少ない。オーナーの野村浩二はレアボトルの貯蔵庫も管理していて贅を尽くすことも可能。彼が雇うスタッフはクールで、素晴らしいサービスと雰囲気を維持している。過去1年間で大幅に改善したフードメニューも彼らの入賞に貢献した。

ベスト・フード/レストラン賞: ロティ(東京都 六本木)

エグゼクティブシェフのイアン・トーザーは料理マスターであり、自身の仕事をアートとみなしているのは明らか。実のところロティの知名度はワインによるものの方が高いが、喜ばしいことに数年前からクラフトビールも数種類提供を開始した。フードはウェスタン・フュージョン料理で店はとても上品。よりお手頃に食事したい場合はランチタイムに行くことをぜひともおすすめする。豪華なパーティを考えているって?このレストランこそが予約に最適だ。

準優勝: 御殿場高原ビール内グラン・テーブル(静岡県)

このメジャーなクラフトビール工場の敷地内レストラン(いくつかあるうちの1つ)は、ビュッフェスタイル料理とクラフトビールを提供しており、(おそらく富士桜高原のものを除いては)国内では類を見ない。しかし、その豊富な品揃えと破格のお値打ち価格から、軍配は御殿場高原に上がっている。

特別賞: 馬車道グリーン(横浜No.1!)、デビルクラフト神田(シカゴスタイルのディープディッシュピザは言及するだけで垂涎もの)、中目黒タップルーム(2013年における素晴らしいメニュー改良)、ケグ・ナゴヤ(空腹では帰れません)、ガストロパブ・エールズ(福岡にある他店のシェフすら彼らを称賛)

ベスト・リテーラー(小売店)賞: アサヒヤリカーショップ(大阪府)

猪熊とクルーが大阪府北東部でクレイジーで小さな酒屋を運営している。もし近くにいるなら絶対に訪れる価値がある。その品揃えは素晴らしく、スタッフはとてもフレンドリー。とても楽しいビアパーティも毎月開催している。

準優勝: 目白田中屋(東京都 目白)

いまだ東京のNo.1、エレガントなこの店は何年にもわたってクラフトビールファンに幅広いセレクションを提供している。なかには(秘密裏に輸入されたであろう)レア物も含まれる。

特別賞: 山岡酒店(京都府。おそらく日本で最高のセレクション。ただし場所が少し不便)、アンテナアメリカ(横浜市。全て輸入ビール、が、全て素晴らしい)、清水酒店(新潟県。新潟のカントリーサイドが天国に。)

ベスト・フェスティバル賞: タナバタビアフェスタトヤマ



このフェスティバルに関しては、全てが適切であると感じられる。地元のフードブースが広場に並び、まさに地域中心。真夏の屋外だが、日陰エリアは十分にあり、雨天の場合には屋根もある。価格は良心的。十分な座席があり、家族連れにも優しい。生演奏の音量はうるさすぎず、立地は田舎の真ん中。週末の保養地には最適な場所だ。

準優勝: ホップレボリューション

主催者のWhisk-E Limitedは自己ベストを更新。もはやフェスティバルではなく、パーティといってもよい!(ページ51の記事をご覧ください)

オールドスクール(伝統)賞: タワーズ(東京駅エリア)

クラフトビールブーム以前、クラフトビールが何たるかを知る人がほとんどいなかった頃、事実、タワーズは東京からほど近い場所で質素な立ち飲み屋としてクラフトビールを提供していた。数年後経っても、タワーズはその形式を変えてはいない。カジュアルに心地よく寛げる場所で、結構な品揃えのビールを適正な価格で提供している。クラフトビアバーがそこかしこに出来始め、どこも他店と凌ぎを削っている中、このような場所が消えてしまわないことを皆で祈ろう。帰宅前にちょっと1杯飲みたいときがたまにある。

準優勝: ジ・オールゲイト(東京都 渋谷)

花香とそのスタッフは、東京のクラフトビールファンの多くが思い出せる限り前からこのイギリススタイルのパブを運営している。彼らがやり方を変える理由は何一つない。状態の良いビール、ナイスな品揃え、適正な価格、美味しい食事、いかしたLPレコードのコレクション!

特別賞: 麦酒停(札幌)

日本初のインターナショナル・クラフトビアバーは、遡ること1549年にオーナーのフレッド・カウフマンが日本に初上陸して以来…、いや、それは宣教師のフランシスコ・ザビエルだったかな?

ベスト・ビール賞?
あなたが教えてください: info[at]japanbeertimes.com
次号で結果を発表しますよ!

This article was published in Japan Beer Times # () and is among the limited content available online. Order your copy through our online shop or download the digital version from the iTunes store to access the full contents of this issue.