クラフトビアの世界に入るきっかけはアートだった。イラストレーターとして働いていた時にビールのラベルアートとデザインに興味を持ち、「これは最高のアートだ」と思ったが、当時はピルスナーばかり飲んでいたという。そして1995年の地ビールブーム。「色々なビールが出てきて驚きました。ビールについて知識を得たいと思ったのですが当時はビールの専門書も無ければビールについて詳しい人も周囲にいませんでした。そこで自分で実際に色々なビールを飲んで感想を記録し始めたのです」。やがてその記録はノート10冊分にもなった。
その後藤原は日本地ビール協会が設けているいくつかの資格を習得したり、同協会が開催するイベントにも積極的に参加してきた。さらにここ10年間でバーやレストランで独自のイベントを開催、色々なビアスタイルを紹介したり、料理とビールの理想的なカップリングを提案したりすることに努めてきた。藤原が蓄積してきた知識や経験はクラフトビアの専門書となって発行され、人気を得た。「他の本はビールの素晴らしさを充分に表現できていない、と感じていました。僕の場合は得意のイラストを使ってビールの素晴らしさをより深く読者に伝えることができたと思います」。
彼は現在、経験豊富なジャーナリストのために設立した「日本ビアジャーナリスト協会」という小規模な組織の活動に力を注ぎ、プレゼンテーションを行っている。「ビールについての情報を共有したいと常々考えてきましたが、フェイスブックやブログでは不十分でした。本格的な専用ウェブサイトが必要だと思いました」。そのウェブサイトはまだ改善の余地があるものの、将来的には素晴らしいものになりそうだ。
2012年の日本のクラフトビアの展望について藤原は、「クラフトビールに興味を示すバーが増えると思いますが、焼酎ブームの時と事情が異なり、クラフトビアの場合は急な需要増加には醸造所側の生産が追いつかないと思います。クラフトビアの生樽の取りあいにもなりかねません。需要が急増したからといって供給側が焦って出来損ないのビールまで出荷したりすることが起こらないよう願っています」と説明してくれた。また彼は、常陸野ネストビールで知られる木内酒造の施設を利用して自らバーレイワインを造ったが、これは素晴らしい出来。木内酒造以外のところでも、要求があれば出向くと藤原は言う。彼の醸造によるクラフトビールが彼のデザインによるタップから注がれる日も近いかもしれない。
Continued to: People of Craft Beer - Bryan Harrell
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