People of Craft Beer – Aoki Tatsuo

青木辰男はまだ歴史の浅い日本のクラフトビア界において尊敬の念を持って見られている人物。タフな愛情を持ってビールを出してくれるタフガイでもある(東京両国にある有名店ポパイで70種類の樽生を提供中)。何か意見を求めれば彼は喜んで意見を述べてくれるだろう。一見、威張っているようにも見えるのだが、それも良質なクラフトビアを愛する純粋な心があればこそなのだ。美味しいクラフトビアを提供することが昔から彼の使命だという。必ずしも大きなビアフェスを開催することに興味があるわけでもない。ただビール職人はベストを尽くして良いものを造り、お店は良いものだけを提供する、ということを青木は望んでいるのだ。

ポパイはもちろん最初から70種類の樽生を置いていたわけではない。青木が初めてエチゴビールの取り扱いを始めた1995年以前のポパイは、従来から他店との差別化を図ろうとはしていたものの、まだ特に珍しい存在ではなかった。ところが、アメリカ人のホームブリュワーでビール醸造者協議会の会長でもあるチャーリー・パパジアンに会ってから、青木はビールについてさらに深く勉強しようと思ったという。「彼のビールに対する理解力の鋭さに驚きました。一口飲んだだけでそのビールの正体を正確に言い当てていました」。それから青木は日本地ビール協会の協力も得て自分のテイスティング・スキルを磨く努力を続け、やがてポパイで小規模ながらもテイスティング・セミナーを開催する。

彼はまた、東京リアルエールフェスティバルの立ち上げにも尽力した。同フェスティバルは毎回確実に集客数を伸ばしてきたが、今年はさらに国内最大規模となる新しいフェスティバルとして4月に秋葉原で開催予定であることが昨年青木から発表された。「ニッポンクラフトビアフェスティバル2012」と名付けられたこの大イベントは青木が理事長を務めるNPO法人「日本の地ビールを支援する会」の主催によるもので、青木がその品質を認めた数々の銘柄が参加して開催される予定だ。なんだか敷居が高く入りにくそうなイメージさえあるのだが、青木は大きな自信を持ってこの最大級のイベントを開催しようとしている。

青木は人を寄せ付けないような感じさえ見せることもあるが、例えば醸造技師であれ、新しいバーのオーナーであれ、お客さんであれ、誰かの質問には親切に答えてくれる一面も持っている。また彼はこれまで多くの店舗でビール用システムの設置に協力をしてきた。「ビールを最高の状態でお客さんに出してもらいたいし、本当に良いものだけを選んでメニューに入れて欲しい」と言う。2012年はどんな年になるか聞いてみたら、青木はきっぱりとこう答えた。「2012年は間違いなく日本のクラフトビア元年になります」。

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