クラフトビアと美味しい料理の組み合わせは今まさに注目のテーマ。そしてジェリーは料理サイドからの目線でこの注目のテーマに取り組んでいる。新しいソースを考案する際に特にクラフトビアとの組み合わせを意識しているわけではないらしいが、このビールに合うソースはどれか、ということについて的確なアドバイスをしてくれる。
小学校6年生の時に父親が自動車事故に遭い、母親が働きに出ることになったことをきっかけにジェリーは自分で料理することを覚えた。家族全員分の料理を作る責任は重かったが、やがて彼はレストランで働くまでに料理の腕を上げた。料理が出来るお陰で女の子にモテたことがあるか聞いてみると、「美味しいディナーを作れる腕があればイケますよ」との答えが返ってきた。
80年代半ばに日本に来て気付いたのは、日本のレストランの料理はスパイスが足りない、ということだった。カレーでさえもそうだった。そして1986年に自分のお弁当用に自家製チリソースを作ったという。「20年くらい前まで、日本人の味覚はスパイスに慣れていなかったと思います。当時は僕が知っているタイレストランは2軒しかありませんでしたが、今では随分増えましたね。若い世代の人たちは以前にも増して海外旅行を楽しむようになっていて、彼らが海外で香辛料の効いた美味しい料理の味を覚えてくるので、日本でもそういった料理の需要が増えています」。
3年前に友人からレストランをやらないかと勧められ、資金援助の申し出も受けたが、彼はその申し出を丁重に断った。「日本にはこれといったバーベキューソースがないので、そこに狙いを定めたいと考えています。タイミングは今だと思います」。しかし彼は流行を追うことは考えていない。自分で流行を作り出そうとしているのだ。「ソースが家庭の必需品となるといいですね。バーベキュー用のグリルを持っていない家庭もあるので、そういった家庭向けに特別にスモークした原料を使ったソースも作りました」。
バーベキューにはやっぱりビール。暑い日などは特にベストマッチだ。ジェリーはクラフトビアとバーベキューの組み合わせも提案している。「IPAやスタウトのような濃い味のビールは薄味の料理には合いません。僕が取り組んでいるのはそういった濃い味のビールに合うようなソースです」。すでに彼は東京にあるいくつかのレストランにクラフトビアと料理の組み合わせについてアドバイスを行なっているが、それと並行して家庭向けのソースの開発も続けていきたいという。
ジェリーは今年の6月か出来ればもう少し早く、自分の会社を立ち上げるべく準備を進めていて、インターネットでクラフトビアを注文できる体制も整える予定だ。さらに、家庭での上手なスパイスの使い方を解説した映像もウェブサイト上で公開したいとのこと。彼が考案したいくつかのソースにはまだ名前が付いていないが、ネットでそれぞれのソースにぴったりな名前を公募することも考えているらしい。
スパイス入りビールに何かアイデアがあるか聞いてみると、「自分で開発してみたい気持ちはありますが、まずは会社を立ち上げてからです」とのこと。おいしいビールにはスパイスの効いた料理がよく合う。
This article was published in Japan Beer Times # () and is among the limited content available online. Order your copy through our online shop or download the digital version from the iTunes store to access the full contents of this issue.