Beer Styles

暑い夏の日々、多くのビール飲みにはヴァイツェンビールが人気だ。軽くて爽やか、喉の渇きを癒すのに最高だという声も多い。では夏に最適なビールはヴァイツェンなのか、それはあなた自身でビールを味わって決めて頂きたいのだが、一般にはこう言われている:明るい色合い、比較的軽めのボディに若干の甘味が、夏の暑さと疲れを打ち消してくれると。

大麦の麦芽が相当量使われている場合が多いが、基本的にヴァイツェンは小麦ビールだ。その多くは上面発酵によるもので、ヴァイツェンに使われるイースト(イーストは糖分を食べてアルコールを生成する)はラガーイーストよりも高温で発酵する。発酵の際には泡状の物質が立ちのぼり発酵タンクの上面に溜まる。通常の発酵では二酸化炭素と凝集物(とりあえず、ただの泡をイメージすればよい)が生成され、この「泡」が二酸化炭素に付着して液体上部へ上がっていく。また、ヴァイツェンビール特有の味わいはこのような特定のイーストと小麦から生み出され、多くの場合、甘味がありバナナやクローブのような香りがする(バナナ/クローブ香はイーストが生成する主なフェノールに由来)。

ドイツの伝統では、大麦麦芽と混ぜる小麦は50%以上と定められている。一方ベルギーでは伝統的にコリアンダーやオレンジピールなどのスパイスが加えられる。これは現在まで続いており、最も顕著な例はヒューガルデンだが、日本のクラフトビールにも幾つか同様のものがある。

ヴァイツェンビールには淡色で濁ったものが多いが、これはイーストと小麦に由来し、深く炒った大麦(濃い目の色を醸し出す)のせいではない。ろ過をしてイーストが取り除かれたタイプも、無ろ過で濁りあるタイプもある。ろ過では濁りのもう1つの原因である小麦由来のたんぱく質も除去される。

ビールの競技会では厳格なスタイル・ガイドラインが採用されている。ヴァイツェンについても、ホップの苦み(通常は少ない)や炭酸の強さ(通常は高い)などが他の特徴と並んで規定されている。こうした基準は、程良くバランスのとれた甘味を保つのに一役買っている。味覚の優れた人ならスタイルの規定など知らなくてもわかる程の、バランスの良さですよ!

All Beer Styles articles are written by Mark Meli, author of Craft Beer in Japan.


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