Scrawlings (The Mailbox)

「日本の地ビールマガジンなのになぜ外国のビールを取り上げているのか、理解できない」 K.T. (埼玉)から

このようなお便りを頂くことが時々ありますが、本誌の方針はいつか必ず読者の方々に理解して頂けるものと信じています。

誤解の無いよう先ず申し上げたいのは、本誌は「日本の地ビールマガジン」ではありますが、日本の地ビール産業をサポートすることを第一の目的とし、実質的には「地ビールに関する情報を広く集めた日本のマガジン」という性格のものであるということです。これまでチェコやベルギーのビールを大きく取り上げてきましたし、今号ではカリフォルニアのビールを特集しました。しかし、あくまでも誌面の多くは日本のビールと醸造所に関する記事のために割いています。

日本の地ビール市場は世界の大きな地ビール市場の一部であるということを読者の皆さんに認識して頂きたいと私たちは考えています。また世界中にたくさんの地ビール団体が存在し、それぞれが重要な役割を担いながら連携して活動している、その活動内容についても読者の皆さんに知って頂きたいと考えています。また日本の地ビールはまだ歴史が浅いですから他国の成功例から学ぶことも多いはずです。そうした成功例や様々な海外の有用な情報を提供することで本誌は日本の地ビールを実際にサポートしていきます。さらに言えば、日本の地ビールに関する記事に限定してしまうと読んでいて退屈な雑誌になってしまう、ということもあります。ビールを造る側も飲む側も余所でどんなことが起きているのかを知りたがっているのです。海外旅行中に飲むビールはまた格別ですが、そういう視点での情報も本誌は提供しています。

また、本誌がしばしば取り上げている輸入ビールに対して多くの日本の醸造所の方々が危機感を抱いている、ということも承知しています。まだまだこれからという日本の地ビール業界に携わる人たちにとって輸入ビールはあくまでも手ごわい競合品なのかもしれません。自分たちが造っているビールより輸入ビールのほうが品質的に上だと感じている醸造所もあるかもしれません。いずれにせよ今後も需要の増加から輸入ビールの数が増えていくことは間違いありませんから、日本の地ビール関係者の方々は現実を直視し、「競合品」をよりよく知るためにも輸入ビールをもっと飲んでみるべきなのかもしれません。あるいはいつの日か立場が逆転し、すでに海外へ輸出を行っている「常陸野」や「伊勢角屋」のように質の良い日本の地ビールがどんどん海外に輸出されるようになって現地のビールを脅かす日も来ることでしょう。

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