Helios Brewery: Craft Beer the Island Way

沖縄。その名を耳にするだけで脳裏に浮かぶのは、白い砂浜、ダイバーやサーファーはもちろん誰もが誘いこまれるような美しい海。独特の音楽に心温まる郷土料理。そして暑さ!暑さで喉が渇く―ヘリオスにとっては願ったり叶ったりだ。

ムシムシする夜に歴史ある国際通りの賑わいを抜けて散歩すれば、必ず喉が渇く。そんな時はヘリオスパブへふらりと入り、数パイント、それに空腹なら料理も合わせて注文してみよう。ヘリオス酒造株式会社の本社醸造所は那覇市の遥か北方である名護市にあり、ビールよりも泡盛、ラム、リキュール、ウイスキーなどの製造で知られている。ヘリオス社が本格的にビールの醸造を始めたのは1998年。オーナーの松田亮氏は全てのアルコール飲料を製造したいと考えていたが、ある時気付いた。「沖縄は暑い。ビールが合う。オリオンビールも既に成功している。よし、自前のビールを造ろう。」そして松田氏はヨーロッパとアメリカへ飛び、時間をかけて各地のビールを飲んで周ると、最後にカナダで研修を受けて帰国した。その間ヘリオス社の玉城英哉本部長はドイツへ渡り、ソーセージについて学ぶと同時に、ソーセージとビールのペアリングについても修行をした。「沖縄では豚肉が大変ポピュラーです。それに酒の文化も学びたかった。ですから留学先としてはドイツがぴったりだったのです。」と玉城氏は言う。彼が勧める組み合わせは白ソーセージとゴーヤだが、ゴーヤの代わりにゴーヤビールを合わせても良いと言う。

ゴーヤビール?冗談?しかし冗談ではない。確かに変わってはいるが、バランスが良くとても飲みやすい。ラガービールにゴーヤを加えたものだ。玉城氏によると、ビタリング用とアロマ用に加えるホップをそれぞれ若干少なめにすることで、ホップの印象が強くなり過ぎないようにしたのだという。実際に飲んでみるとゴーヤの香りは殆ど感じられず、香りとしてはパンプキン臭の無いパンプキンエールのような感じだ。ボディーは軽く爽やかだが、フィニッシュで突然ゴーヤの苦みが現れて穏やかな波のように広がってくる。確かに、ソーセージと合わせると最高だ。

ヘリオスビールのフラッグシップ商品としては他に、ベーシックなヴァイツェン、ペールエール(ほのかに甘い香りとフィニッシュに残る若干の苦みが特徴)、ジャーマンラガー、ポーター(玉城氏曰くスペアリブや島豚との相性が良い)があり、レッドエール等の季節限定ビールもある。目下のところヘリオスビールは地元沖縄市場に重点を置いているが、主に自社のオンラインショップを通じて日本各地に向け瓶ビールを販売しており、その販売増も目標としている。珍しい例としては「横濱Cheers」が樽生のヘリオスビールを出しており、沖縄県外で唯一ヘリオスの生が飲める場所となっている。

前述のヘリオスパブへ入ってはみたものの更に賑やかな場所へ行きたいという方には、2階のヘリオス直営居酒屋「百甕」をお勧めする。メニューには琉球料理が並び、(揚げ物もたっぷりあり、認めざるを得ないが美味い。)、琉球島唄のライブ演奏もある。しかし名護市の泡盛工場を見学するにはもう少し手がかかる。まず予約が必要で(オンライン予約可)、交通の便も確保しなければならない。高くつくがタクシーに乗るか、酒を飲まないドライバーがいればレンタルカーを借りるかだ。だがそれが難しければ、那覇市内の酒屋でも瓶を買えるので、それをホテルやビーチで味わえばよい。苦み走った酒の瓶をお供に日光浴ー渋いではないか。

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