Waterland

イングランド東部にあるフェンズというところに住むある家族の3世代にわたる複雑な人間模様を描いた、グレアム・スウィフトの1983年の小説「ウォーターランド」は彼の最高傑作だろう。物語は現在と過去が交錯する複雑な内容で、なぜかウナギの交尾の話など突拍子もない方向に脱線したりする。妻が起こした事件によって辞職を迫られている歴史教師トム・クリックはカリキュラムを脱線し、生徒たちに知的障害、殺人、近親相姦、堕胎、自殺といった重いテーマを含んだ彼自身の物語を語り始める。この作品でのスウィフトの筆致は重厚な迫力を感じさせる。

湿地帯であったフェンズの干拓事業で財をなしたアトキンス一家はビール醸造業を営んでいる。やがて一家は地方一の財力を誇るようになり、ビール造りも最高潮を迎える。しかし一家の隆盛は長くは続かなかった。堕ちていく一家はやがてアルコールに溺れるようになる。そんな中でアトキンス家の主人は息子に堕ちるところまで堕ちたらこのビールを飲め、と言って「秘密のビール」を手渡す・・・

本作は新潮社から邦訳バージョンも出ているので是非読んでみて欲しい。

「Beers for Books」が47都道府県
制覇にチャレンジ!

The Beers for Books
47 Prefecture Challenge!

by Gary Bremerman

美味しい地ビールを飲んでネパールやカンボジア、南アフリカなどの貧しい国々の子供たちに対する寄付となるなら素敵なことですよね。あなたもBeers for Books (www.beersforbooks.org) というイベントに参加して社会貢献してみませんか。

Beers for Books は、各国語による教育書籍の出版を行なっているNPO団体Room to Read (www.roomtoread.org) の事業の一環として行なわれているもので、簡単な方法でしかも楽しく寄付を募るというもの。日本各地のバーなどでイベントを行ない、その日の客が飲んだドリンク1杯につき100円がRoom to Read に寄付されます。そしてRoom to Read によってその100円が1冊の教科書となり、アフリカやアジアの7つの国々で子供たちが読み書きを学ぶために使われます。1杯のビールが1冊の教科書になるという仕組みです。

このイベントは東京でも昨年スタートし、2010年は47全都道府県での開催を目標に掲げており、今年に入ってすでに12県で開催されています。これまで1年余りの間に楽しくビールが飲めるイベントをたくさん行ってきて計45000冊の本が作られた実績があります。

現在、アメリカと日本でどちらが先に全国制覇を達成するかを競っているということなので、この記事を読んでいる皆さんも行きつけのバーなどでこのイベントを開催してもらえるように働き掛けてみてはいかがですか?4月8日の時点でアメリカは全50州のうち開催済みは6州ということで今のところ日本優勢ですが、今後は日本を追い上げてきそうだとのこと。

日本での開催済み県とアメリカの開催済み州はwww.beersforbooks.org でチェック。あなたも美味しい地ビールが楽しめるこのイベントに参加して、日本人も社会貢献していることをアメリカに、世界にアピールしましょう。

This article was published in Japan Beer Times # () and is among the limited content available online. Order your copy through our online shop or download the digital version from the iTunes store to access the full contents of this issue.