Muginotoki Music Festival 2023





夏に開催されるビールフェスで、お祭りの雰囲気を存分に満喫するのは間違いなく楽しいが、涼しくなった秋にゆったりと自然の中で飲むビールは同じくらい、またはそれ以上に心地の良いものだ。爽やかでひんやりとした空気感の中で飲むビールは風味やコクをより感じられるような気がする。秋はアウトドアを楽しむのにもとっておきの季節と言える。

11/11〜12の週末に埼玉県・東松山市のCOEDOクラフトビール醸造所にて行われた麦ノ秋音楽祭2023。今年5月に続き今回で3回目の開催の本イベントは、多くの人で賑わっていた。音楽祭ということもあり、通常のクラフトビールフェスとは会場や来場者の雰囲気も異なるのが印象的だ。子供や犬を連れた人々も、ステージ前にレジャーシートを広げ、緩やかで平和な時間を過ごしていた。COEDOの醸造所施設横に広がる麦畑の周りにはテントが立ち並び、アウトドアの服装に身を包んだ来場者たちがビール片手に音楽を聴き、体を揺らしている。

COEDOのビールファンにとって嬉しいのが、会場で飲むことができるビールの種類の豊富さだ。定番の毱花(セッションIPA)や瑠璃(ピルスナー)など6種類と会場限定の音ト鳴(おととなり)が揃っている。この限定醸造はビタリング時にホップの代わりにハーブを用いているためグルートに近く、前回5月のイベントからそのレシピをブラッシュアップしたという。音楽フェスで好まれるエナジードリンクを意識して作られており、醸造所の麦畑で収穫した大麦を一部使用したほか、マカやレモングラス、オレンジピール、ローズマリーなどを入れたことで、好奇心のそそられる爽やかな味わいの一杯になっている。11月ということもあり、寒さはあったが喉を通るひんやりとしたエールは気持ちがよく、しっかりとしたハーブのアロマも会場を囲む自然の香りとマッチしていた。会場内で流れるライブ音楽が心地よく、思わず時間を忘れてしまいそうな空間だ。

普段は公開されていない醸造施設を巡るブルワリーツアーや、COEDOのCEO朝霧重治氏が行うビール学校などもあり、ビールファンにとって魅力的だ。今回のイベントでは麦畑に種まき体験をすることが可能で、次回5月のイベントでは成長した黄金色の麦が来場者を出迎えるだろう。

麦ノ秋音楽祭は、音楽好きにも、アウトドア好きも、家族連れも、そしてもちろんビール好きも、もれなく満足すること間違いなしのイベントだ。次は2024年の5/11〜12に開催するとのことなので、オフィシャルサイトの情報をこまめにチェックしたい。