私たちの多くは、ベルギーへひとっ飛びし、ブリュージュの運河のほとりで、歴史あるトラピストビールをすする時間もお金もない。その代わり、電車で少しの時間揺られて、2010年の初開催以来、日本で毎年恒例のイベントとなったベルギービールウィークエンドに行ってみてはどうだろう。十分満足いくはずだ。建造から数百年が経った美しい建物や、一連のユネスコ世界遺産を観光することはできないが、ベルギービールを2、3杯飲めば、そんなことはどうでもよくなるだろう。
ランビックおよびその他のサワービールの先駆者として、ベルギーは、米国人が酸っぱいビールはただ悪くなったものではないと気づく前から、おいしい「腐った」ビールをつくり続けてきた。1970年代、カンティヨンが米国に入ってきた際、多くの米国人が、そのビールは「腐敗している」と言って突き返した。ベルギー人は時代を先取りしていたようだ。樽熟成プログラム? 彼らはそういったことを何世紀もやってきたのだ。セッションビール? 彼らはセゾンという形でそれを長年やってきた。
ベルギーが先駆者であるという例はまだまだ続く。おそらくベルギーのビール消費者および製造業者は、他国の「クラフト」ムーブメントのことを耳にしては、くすくす笑っているのだろう。彼らはあなたにこう言うかもしれない。「ねぇ、それこそが、私たちがずっとやってきたことだよ。君たちが仲間に加わって嬉しいよ」
ベルギーの国土面積は30,528平方キロメートルだが、これは、北海道にベルギー2つとさらに四国も収まる計算になる。ベルギーには約180の醸造所があり、その大多数が、クラフトビールをつくっていると言える。一方、日本の醸造所の数はおよそ250ほど。国土は狭いといえど、ベルギーには、1平方キロメートルあたり、はるかに多くのクラフトブルワリーが存在している。しかし、恐れるな、日本よ! クラフトビールという領域において、日本は国際的地位が急上昇している。近い将来、ベルギーでジャパニーズビアウィークエンドを開催できるようになるかもしれない。
ベルギービールのファンにとって、ベルギービールウィークエンドの開催都市が増え、今年は8つになったというニュースは喜ばしいことだろう。例年の名古屋、福岡、横浜、大阪、仙台、東京に加え、今年は新しく札幌と金沢での開催が決定した。
今やベルギービールウィークエンドの伝統になりつつあるが、同イベントは、4月27日開催の名古屋を皮切りに、9月の東京で終了する。北海道・札幌の会場は、毎年行われるさっぽろ雪まつり会場で有名な大通公園に決まった。金沢は、昨年北陸新幹線が開通し、東京からのアクセスもよくなり、人気の観光地となった。会場は、広大な敷地を有する金沢城と日本三大庭園の一つである兼六園の隣に位置する、いしかわ四高記念公園で、非常に魅力的な旅行となるだろう。
昨年を踏まえると、今年のイベントでは総勢200,000人の来場者数が見込まれる。あなたが実際にベルギーに飛び立つ時間とお金を十分に持っている幸運な人ならば、なんとしても、ベルギー行きの飛行機に乗ってほしい(そして私たちにおみやげを買ってきてほしい)。あなたが私たち大多数のようにそのような旅行をする余裕がなければ、ベルギービールウィークエンド2016でお会いしよう。
ゾンテ(乾杯)!
www.belgianbeerweekend.jp
Brian Kowalczyk
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