How Many Breweries Can the US Take?

日本のクラフトビールのブルワリー数は約220。この数はどこまで伸びる可能性があるのだろうか。国別の人口1人当たりのブルワリー数のランキングを用いて、米国のブルワリー数がどこまで伸びる可能性があるのかを検証している興味深い記事がある。

How Many Breweries Can the US Take?

この記事の訳はこうだ。

米国のブルワリー数が4500まで伸びる可能性があるのだろうか。この答えは、これからできるブルワリーの規模、場所、そしてつくられるビールの質によるが、とにかく推定をしてみよう。比較できるデータを用いれば、ほとんど確実に4500カ所までいくという結論が導き出せる。

2012年現在のヨーロッパの「ビール好き」諸国のそれぞれのブルワリー数と人口のデータを用い、人口ブルワリー率、つまり1人当たりのブルワリー数を計算した。米国のブルワリー数は2014年7月31日現在で3084であり、1人当たりのブルワリー数をヨーロッパ諸国のランキングに入れると8位に入る。ちなみに1位から、スイス、デンマーク、リトアニア、オーストリア、ドイツ、英国、ベルギーの順に並んでいて、その後に米国が入っている(興味がある人は国別コードを参照してランキングを見ることをお勧めする)。
米国がスイスと同じ人口ブルワリー率を持っているとすると、なんと1万4000以上ものブルワリーがあることになる。スイスよりも規模が大きいドイツや英国の方が、より適しているだろう。ドイツや英国が米国と同じ人口を持っている場合、それぞれ5300と4700のブルワリーがあることになる。

ここで米国の過去の人口ブルワリー率を見てみよう。最高だったのは1870年代で、この率を現在に適用すると3万を超えることになる。しかし、1900年の人口ブルワリー率を適用すると7604になる。現在はちょうど1910年代、つまり禁酒法が施行される直前と同じ率である。

しかし率は同じでも、たくさんの違いがある。例えば、1900年には2社で75%の市場シェアを占めるような大手メーカーはなかった。しかし市場の細かな点を見ると、クラフトビール市場が世紀の転換を象徴する一つの例として見られ始めていることも含め、類似点が増えてくる。小さなブルワリーが地域市場に貢献しているのだ。

以上が記事の訳だ。米国の2013年の人口は約3.2億人であることを考慮すると、スイスの人口ブルワリー率は約0.004%である。2位のデンマークは0.002%で、8位の米国で0.001%。それぞれに日本の人口(約1.3億人)を掛けると、5200、2600、1300となる。冒頭で示した現在の217という数値と比較すると、膨大な数である。

もちろん、ランキング上位の国の人口ブルワリー率をすぐに日本に適用することはできない。それは、「ビール文化」の深さが違うからだ。日本もこれから再びブルワリーの数が増えていくためには、ビール文化が深くなり、一つひとつが地域に根差していくことが必要になるだろう。

Kumagai Jinya

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