日本のプレミアムフードとビールのイベント「グランビエール2014」が今年は六本木ではなく渋谷で行われ、またも刺激的で新しいペアリングの可能性とともに既成概念の限界に挑んだ。我々のシニアライターである熊谷ジンヤはお気に入りの T. Y. Harborのスモークウィートエールとナチュラルチーズをチョイス。「スモークアロマがチーズのうまみを際立たせる」。ペアリングといえば、こんな暑い夏の時期に美味しいビールとアイスクリームのペアリングをご存知の方はいるだろうか?
ビアトレインの次の停車駅は京都だった。毎年春に行われる「地ビール祭 京都」ではアーケードに沿ってブルワリーのブースが設置され、数千人もの人を惹き付けた。酔っ払った客に唖然とし、戸惑った地元商店の店主もいたには違いないが、多くの小規模なローカルビジネスは経済的利益を受けることができ、ありがたかったことだろう。ブルワーによる京都実行委員会と山岡酒店は地元商業と協力しながら、クラフトビールがいかにコミュニティ活動に好影響をもたらすかを証明した。それこそ我々が毎年参加する理由だ。
5月後半の「クラフトビアライブ in なんば」は、クラフトビールとライブ音楽が依然人生における最高の組み合わせのひとつであることを証明した。冬に行われる「スノーモンキービアライブ」と春のこのイベントと、夏にもクラフトビール&音楽フェスが必要だ。あ、そういえばあった! (10ページ参照)
5月の終わりにはビアトレインは一部の車両を迂回した。あいにく「ビアフェス東京2014(恵比寿)」と「けやきひろば ビール祭り」が同じ週末に重なった。前者は飲み放題でさまざまなビールが試飲でき、一方、後者のイベントはさいたまスーパーアリーナ場外で開催され、よりお祭りの雰囲気に包まれていた。あぁ、ありがとう神様。けやきひろばの会場が屋外に戻った! 秋に再度行われる同イベントを楽しみにしている。秋のけやきひろばはビアフェスティバルシーズンの終わりを告げるものだ。
海外では「第22回オーストラリア・インターナショナル・ビア・アワード」の受賞者が発表された。今年は日本を含め30以上の国々から1560ものエントリーがあった。米国とオーストラリアがどちらも強さを見せつけた。残念ながら日本から受賞者は出ず。来年に期待しよう。ブルワーの皆さん、お静かに。次の「ヨーロピアン・ビア・スター・アワード」も忘れないで(31ページ参照)。
米国では弊誌発行人のライ・ベヴィルがカリフォルニア州サンノゼの「クラフト・ビバレッジ・エキスポ」に参加した。前号最後のコラムでお伝えした「クラフト・ブルワーズ・コンファレンス」など、世界各地で開催される大規模会議と同様に、本イベントには数多くの出展者、スピーカーや業界従事者が参加する。大きな違いとしてこのイベントでは、ビール、ワインやスピリッツを問わず、あらゆる「クラフト」プロデューサーが一堂に会した。
ベヴィルによる報告は以下の通り。
ジャンルの境界が取り払われたことを嬉しく思う。クラフト文化に向かうこと。これこそ我々の目指すところであるし、日本が取り入れ可能なものである。すでに多くのブルワリーがクラフトビールと日本酒の両方をつくっている。木内酒造(常陸野ネスト)、熊澤酒造(湘南ビール)そして小西酒造。これら3社は私がよく飲む酒蔵だ。また、業界競合相手による抵抗、販売経路の問題、資金不足など、クラフト飲料メーカーは類似した問題点に直面するということを知ることができたのも興味深かった。
イベントの目玉は、スティーブ・ヒンディ(ブルックリン・ブルワリー創設者)、ケン・グロスマン(シエラネバダ創設者)、ヴィニー・シルーゾ(ロシアン・リバー創設者)、ロブ・トッド(アラガシュ・ブルーイング創設者)など、アメリカ屈指の著名で革新的なブルワリーらによるパネルディスカッションだった。単独のディスカッションパネルで、これほど影響力のあるブルワー集団が一堂に会するのを目撃したことはいまだかつてない。
彼らはしばらくアメリカのクラフトビールの原点について、特にチャーリー・パパジアンの影響力とホームブルーイングムーブメントについて語った。日本でいまだにホームブルーイングに関する力強い動きが見られないことがいかに残念なことか、改めて衝撃を受けた。確かに日本では基本的に自家醸造は違法である。しかしアメリカでも昔は同様に違法だった。チャーリーと支持者たちが長年にわたり実に多くの人々に訴えかけ、非常に熱心に政府に交渉した結果、各州が次々と合法化していった。事実、つい最近、アメリカの50番目にして最後の州が、やっとホームブルーイングを合法化した。この消費者運動は日本でも達成可能であると私は信じている。
その後、話題は彼らが長年にわたり直面してきた挑戦について移った。どうやら彼らは皆なんらかの形で、あくどい代理店とのトラブルを経験しているようだ。その点、日本は直接バーや消費者にまで直販できるのだからある意味とても幸運といえよう。商標というテーマも出たが、これは日本にも共通した関心事であると考える。私は日本ですでに2件の商標紛争が存在しているのを把握している。これで終わりではないだろう。
質疑応答の際、私はブルックリン・ブルワリーのヒンディに、なぜ日本への輸出を決心したか質問した。昨年、弊誌に掲載したブルーマスター、ギャレット・オリバーのインタビュー記事ですでにご存知の方もいると思うが、日本はその昔、同ブルワリーにとって伝説的な第一の輸出市場だった。ヒンディはこう答えた。「日本輸出に関し、最初のモチベーションは単純にブルックリンのビールを飲み、楽しんでもらいたかったからです」。彼らは自身のつくるビールに誇りを持っていたし、今でも持っている。
おっと! 我々もミスをします。ときにはとても大事なことも。全くのしらふなのにまるで酔っ払っているみたい。前回のデビルズ・キャニオンの記事でブルワー兼オーナーの名前を誤ってクリス・カランと表記しました。正しくはクリス・ギャレットで、ダニエル・カランは副社長です。「クリス・カラン」は空想のお友達です。また、同ブルワリーはベルモントで設立されましたが、新施設はカリフォルニア州サン・カルロス近くにあります。
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