by Mark Meli
バーレーワインはアルコール度数の高いエールだ。ワインという名はブドウとは何の関係もなく、アルコール度数の強さに由来している。度数は8%〜15%でワインとほぼ同じ強さだ。英国で生まれ、通常、ブルワーが醸造した最も強いビールとされている。多くのバーレーワインは琥珀色から深い茶色で、麦芽の豊かなアロマとフレーバーが全体を支配している。ホップと同様にアルコールによるバランスも良く、ホップ香はほんの僅かしかないものが多い。共通するフレーバーとしては、レーズンやプルーン、果実のジャム、チョコレート、トフィー、ポートワイン、シェリーなどが挙げられる。ほとんどの場合、炭酸はほぼ感じられないか全くない。若いバーレーワインは甘味が過ぎる場合があるので数年ほど寝かせてから飲むことが多い。
イングリッシュ・バーレーワインでは「トーマス・ハーディーズ・エール」や「J.W.リーズ・ハーベストエール」が有名だ。どちらも極めて甘く豊かで、25年(!)までは熟成と共に味が深まっていく。日本での入手は困難だが、それでも探す価値のあるビールたちだ。ヤッホーブルーイングも英国スタイルのバーレーワインを年に1度リリースしている。そのヴィンテージものは甘くモルティで、年月を経るにつれて味が良くなる。
アメリカンスタイルのバーレーワインはイングリッシュスタイルよりもホップが効いている傾向にあり、カスケードやセンテニアルといった西海岸産のホップ種が強い柑橘香を与えている。多くの若いバーレーワインには苦味とアルコール由来の熱感があるため熟成が必須で、熟成後でさえもイングリッシュスタイルに比べて甘みやシロップ味が少ないものが多い。日本でも広く流通しているアンカーの「オールドフォグホーン」は最初のアメリカンスタイル・バーレーワインで、現在でもアメリカンスタイルの典型例だ。サンクトガーレンの「エルディアブロ」も極めてアメリカ的だ。ほぼ10%という高いアルコール度数と大量のアメリカ産ホップで、味覚が麻痺するほどの強力さなのだ!私はこれを3〜4年間寝かせてから味わうのが一番好きだ。
バーレーワインのフレーバーはこのように極めて多様なので、1つの明確なスタイルとして認識するのは難しいかもしれない。とりわけ現在は、ベルギー、デンマーク、オランダ、そして日本版のバーレーワインまであり、ブランデー、バーボン、ワインの樽で熟成されることもある。これらの樽はそれぞれ特徴的なフレーバーを醸し出す。これほど多様なバーレーワインを比較するのは楽しいことだ。日本的なバーレーワインを体験するには、アウトサイダー・ブルーイングの新作「マウンテン・バーレーワイン」をお勧めする。原料には多量の麦芽と共に梅が使われており、アルコール度数は約15%。タート、フルーティーなどのフレーバーやワインのようなキャラクターが楽しめる。
バーレーワインは素晴らしいデザートビールだが、ジビエや風味の強いチーズとも相性が良い。寒い冬の夜にはパーフェクトだし、暖炉の横で飲めるものなら、もう言うことなしだ。
All Beer Styles articles are written by Mark Meli, author of Craft Beer in Japan.
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