Fruit Beer

フルーツを使ったビールで最も伝統的で有名なものは、やはりベルギーのランビックをベースにフルーツを漬け込んだ「フルーツランビック」ではないでしょうか。その代表格は、サクランボを使ったクリークです。18か月くらい熟成させたランビックのカスクの中にサクランボを丸ごと入れます。サクランボがビールに漬けられている期間は、長くてもひと夏。それ以上になると、サクランボの種から苦みが強く出てきてしまうといいます。

サクランボの香りがついたランビックは、その後ビンに詰められ5、6カ月瓶内熟成され、製品になります。16、17世紀頃から造られているというフルーツランビックはサクランボ以外にも、木苺を漬け込んだ〝フランボワーズ〟が伝統的に造られてきましたが、桃を使った〝ペシェリーゼ〟や、その他バナナ、イチゴ、カシスなどを使用した新しいフレーバーのフルーツランビックも生まれました。バナナやイチゴはクリークの様に果実を丸ごとビールに漬けるのではなく、果汁が加えられます。

ランビック以外にもフルーツビールは造られています。基本的にどんなビールにもフルーツを加えることは可能ですが、圧倒的にウィートやペールエールをベースにしている物が多いようです。どちらにしてもフルーツビールとして大切な事は〝バランス〟です。フルーツの香りしかないビールやフルーツの香りが感じられない、隠し味程度にしか入っていないビールはフルーツビールとしては、評価されません。

日本では、ベアードビールが季節限定で、静岡で採れたミカンを使った『大工さんのみかんエール』や柚子を使った『お寺の庭ゆずエール』、スタウトに甘夏を入れた『スイートシトラススタウト』などを、千葉のハーベストムーンでは、グレープフルーツやブドウ、柚子を使った季節限定ビールを、厚木のサンクトガーレンでは、地元産のオレンジを使った『湘南ゴールド』や『パイナップルエール』を、福岡のケイズブルーイングカンパニー(ブルーマスター)では、大分産のカボスを使用した『カボス&ハニーエール』など様々なフルーツを使った素晴らしいフルーツビールがたくさん造られています。

今後も、ブルワーのユニークな発想で、四季折々のフルーツを使った素晴らしいフルーツビールが誕生する事でしょう!

by Kido Hirotaka

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