What is Real Ale?



その定義は人によって多少違いますが、一般的には、樽(カスク)の中で二次発酵をさせるタイプのビールのことを指します。広義には瓶の中で発酵が継続的に進む「ボトルコンディション・エール」も含まれますが、一般的には「カスクコンディション・エール」を指します。イーストが生きていて、コンディショニング(発酵による風味の熟成)が続くのでまさに“リアル”、手作りによる生きたビールです。カスク内で発酵により発生した炭酸ガスは外に逃がすようになっていて、パブなどでグラスに注がれる時も炭酸ガスの圧力を利用せず手動のポンプで注がれます。ですからリアルエールは厳密に定義すれば、人工の保存料や添加物を全く加えず、伝統的な原料のみによって造られるビールということになります。

この最近の定義はリアルエールという言葉が生まれたいきさつを反映しています。その言葉自体は1971年にイギリス西部で休暇を楽しんでいた4人の男性によって生まれました。彼らは昔あったような美味しいビールが姿を消しつつあった当時の状況を嘆き、それは大手ビールメーカーが利益追求だけを考えてビールを作ってきた結果だと考えた彼らは、本物のビールのための復興キャンペーンを張り、それは1973年のCAMRA(Campaign for Real Ale)というキャンペーンに繋がっていきます。彼らは大手ビールメーカーの姿勢に真っ向から反対していたことから、そのキャンペーンは小規模の醸造メーカーやパブなどを対象に展開されました。賛同者は順調に増えてゆき、その後CAMRAは酒類販売許可法やビール税法の改正にも影響力を持つようになっていきます。現在CAMRAは一つの目的を掲げて活動する消費者団体としてはイギリス国内で最大規模の団体になっていて、会員数は10万人を超え、200以上の支部が各地にあります。政府の施策に与える影響力も大きく、リアルエールを造る小規模メーカーに対する支援が充実し、それによって地ビール愛好者がさまざまな味を楽しめるような環境作りがなされています。

リアルエールでしか味わえないその風味はビールが生きているからこそ。しかしそれゆえにデリケートな品質管理が要求されます。きちんとした温度管理がなされることによって順調に熟成し豊かな風味が生まれますが、管理がいい加減だったり長く放置しすぎたりしたものは悪くなってしまいます。細心の注意を払いながら手間を掛けて造られるリアルエール。そんなリアルエールと、それを楽しむ愛好者がもっともっと増えてくれたらいいと思います。

日本でもリアルエールを盛り上げていこうという動きが出てきています。「第8回東京リアルエールフェスティバル」が2010年2月14日に開催されます。www.tokyorealale.org

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