Mojiko Retro



門司港レトロビールのクオリティの高さは、ラインナップの少なさを補って余りあるものだ。北九州市門司区にあるこの小さなブルワリーがつくっているのはスタンダードなタイプの3種類だが、そのどれもがクオリティが高く、誰が飲んでもまずがっかりさせられることは無いだろう。約15年間に渡って美味しいビールをつくり続けることができたのは醸造長を務める峯松幸之助の功績によるところが大きい。

会社の創立は1997年だが実際に開業したのは翌年4月のこと。開業までの期間はもっぱらたくさんのビールをひたすら飲むことで知見を深めた、と峯松はいう(後にはシーベル醸造科学技術研究所や広島の醸造学校にも通学して学んだらしい)。2003年に醸造長になるまでは併設のレストランで働いたりブルワリーで働いたりの毎日だった。ブルワリーでは当初から伝統的なレシピに従いスタンダードな3種類のビールをつくることに専念してきた。ピルスナー、ヴァイツェン、ペールエールである。一方、最近やっとオリジナルレシピによるアンバーを完成させた。これも素晴らしい出来である。

「創業当初はヴァイツェンを廃棄処分にしたこともありました。ヴァイツェンは難しいですね。ここ4、5年でやっと安定したものを造れるようになってきた感じです。2008年に富士桜高原麦酒にお邪魔した時は醸造責任者の宮下さんに貴重なアドバイスをいくつか頂くことができました」。

門司港レトロビールの特徴は素晴らしいモルティネスで、このキャラクターは特にペールエールで顕著である。また峯松は季節限定ビールもつくることがある。夏季のサマーヴァイツエン、冬季のデュンケル・ヴァイツェンボックとレギュラータイプのヴァイツェンボックなどである。また外部からの依頼により、その店のためのハウスビールを手掛けることもあるといい、そういうときにつくるIPAなどもやはり門司港レトロビールらしくモルティな仕上がりになるという。

門司港界隈以外で門司港レトロビールを提供している店はそう多くは無い。是非彼らのブルワリーを訪ね、併設のビアレストランでその味を確かめてみて欲しい。グラス(320ml)が¥480、ジョッキ(500ml)が¥650、ピッチャー(1800ml)が¥2,300。もれなく美しい港の風景が付いてくるのが嬉しい。

峯松からのメッセージ「是非お越しください。ここのビールが有名になって町興しにも役立ってくれたら嬉しいです。美味しい地ビールと美しい港の風景を堪能して頂きたいです」。

彼が言う通り港の景色は素晴らしく、ビールの美味しさがまた格別に感じられた。



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