Modern Times: Celebrating Quirkiness



モダンタイムスは新種のファンキークールを定義する。サンディエゴのポイントロマにあり、主力ブルワリーとテイスティングルームである「ロマランドファーメントリアム」に入ると、20世紀初頭の家庭かホテルにあるような、脚付きの古いバスタブが二つある。それらは、カリフォルニア南部の暖かい気候のもとに繁るサボテン、クラッスラ、その他の多肉植物のプランターとして巧妙に再利用されている。これらのプランターはステートメントであり、オブジェであり、子どもの豊かな想像力であり、それら自身に注意を引きつけるよう意図されている。それらは奇妙な寺院の入口に鎮座するガーゴイルのようなものであり、倉庫の扉の向こうに横たわるものへの前触れである。

多くのクラフトブルワリーの直営店は魅惑的な空間だが、モダンタイムスのそれはある種の戸惑いやめまいといった感覚を喚起させるものだ。空間の中心に位置するバーや、その後ろにあるブルワリーが、あなたの感覚を呼び起こす。はるか向こうの壁には、全て付箋紙で作られたマイケル・ジャクソンと彼のペットのチンパンジーのモザイク画がある。近くの壁は、オーナーが有する古いコレクションの昔の漫画本のページで覆われている。象徴的なモダンタイムスのロゴは看板にもデカデカと描かれているが、見逃した人のために、壁の中央とコーヒーバーのすぐ下にもある。ステートメントはそれがはっきりしたものでないとステートメントたり得ないとそれは提案している。もう一つの看板には「ミニマート」と書かれていて、これはコーヒーバーの向こうにロゴグッズの売店があることを示している。コーヒーバーに着席することは教会に着席することと同じだ。私は座り、祈る。前日の夜サンディエゴの素晴らしいビールを大量に試飲した私は、コーヒーが軽度の二日酔いを治すことを祈っている。コーヒーは素晴らしい。今や私は生き返り、多くの地元民がサンディエゴで一番と考えているビールを試したくてたまらない。

ビンテージデザインのエジソン電球が天井からバーに向かって垂れ下がっており、昔のサーカステントのライトを思い起こさせる。より近づいて見ると、バー下部は古い本が積み上がって出来ている。バーの向こうの角には背の高い本棚があり、ブルワリーとテイスティングルームを隔てる壁としてよく機能している。タンクを見てみると、古いラジオ、タイプライター、地球儀にその他珍しい物が、その頂上に設置されている。前世紀のこれらの遺物をあなたが見逃すことはないだろう。それらが雰囲気をつくり、あなたの気分を決めている。私は何年代にいるのだろう? まるで「マルコヴィッチの穴」で、マルコヴィッチの頭の中に入ってしまったかのような気分だ。

バーの反対に位置するメインの壁は芸術品で飾られている。と言っても、人によっては低俗と思われかねないベルベットペインティングといった作品だ。テイスティングルームの装飾として作り直されたこの分野の骨董品で、低俗は全体のデザインコンセプトの一部となっており、おそらく芸術として組み込まれている。ここはヒップスター、デザイナー、コレクター、そしてクラフトビール愛好家の楽園である。早くも2013年にこれらすべてを打ち出した人間は、何かより偉大なもののビジョンを追求する一方で、ブルワリーおよびコーヒー焙煎所を経営することを明らかに楽しんでいる。

圧巻の見世物の裏の立役者は、創業者のジェイコブ・マッキーンとエイミー・クローンである。前者のジェイコブは長年の自家醸造者で、その後ストーンブルーイングカンパニーで内勤を経験し、退職してモダンタイムスを始めた。後者のエイミーはグラフィックデザイナー兼インテリアデザイナーで、以前はコーヒー業界で働いていた。創業時から、モダンタイムスはコーヒーとビール(そして奇妙さのお祝い)の両方を扱っていた。



テイスティングルームのデザインを特徴づけるのと同じエートス(精神)がビールのスタイルを特徴づけている。彼らのビールは掛け合わせだ。標準スタイルのガイドラインに固執しているものはほとんどない。缶の定番銘柄は四つあり、その一つは同ブルワリーの名を知らしめるのに一役買ったブラックハウスという銘柄で、自社で焙煎したコーヒーを使用したオートミールコーヒースタウトだ。アルコール度数は5.8%と多くのコーヒースタウトより低いものの、味わいと香りが爆発している。ブレイジングワールドは、彼らに言わせればアンバーで、そのアルコール度数(6.8%)と苦味(85 IBU)からIPAのようで、湿った匂いと果実味豊かなホップが複雑に組み合わさっているため、そのような印象を受ける。しかし、IPAよりも軽く、パンやトーストの感じが強く、アンバーのようなボディが、そのスタイルをしっかり守っている。フォーチュネイトアイランドもIPAのような面も持ちつつ(ホップ、この場合特にトロピカルなものの香りと味わいが際立っている)、正統派で控えめなことで知られるもう一つのスタイル、すなわち小麦ビールの面も持つ。ロマランドはセゾンだ。セゾンとはどのようなスタイルのビールなのか。それは伝統的に果実味かつ香辛料のような味わいが豊かなペールエールである。これは足跡のようなもので、同ブルワリーを唯一無二の存在として定義している。

不思議に思っている人ーーもちろんあなたも不思議に思っているに違いないーーのために説明すると、モダンタイムスは、世界でも数少ないコーヒー焙煎所を持つブルワリーの一つである。あるいは、ブルワリーを持つ数少ないコーヒー焙煎所の一つとも言える。ここではコーヒーは単なるおまけではない。コーヒーバーの後ろにある製造室には特注の焙煎機がある。これは、それ以前のものが激増する要求に追いつけなくなった後に設置されたものだ。モダンタイムスは(ビール以外に)コーヒーまでも缶に詰めたり、豆を袋売りしたりする。

この二つの独自性のおかげでモダンタイムスは革新的なアイデアを追求することができている。本誌は前2号で樽熟成を特集し、スピリッツの樽に詰められたどんなビールにも残り香を移す工程について説明した。モダンタイムスはこれと同じことをコーヒー豆でしている。生のコーヒー豆は明らかに使用済みのスピリッツの樽という環境を十分に受け入れ、その香りを非常に速く吸収する。スタイルで言えばエクスポートスタウトのシティオブザデッドは、バーボン樽で熟成した豆を使ってつくられていて、信じられないほど豊かな香りが感じられる。

モダンタイムスはビールもいくつか樽熟成させていて、急速に拡張する樽部屋で楽しい実験をたくさんしている。そのほとんどが直営店または「リーグオブパーティーゴーアーズアンドエレガントピープル」という名のメンバーシッププログラムでのみ購入できる。ジェイコブとエイミーがブルワリーの美学的および哲学的方向性の大部分を定める一方で、醸造チームはマット・ウォルシュが率いている。偶然にも、本誌ははるか昔の2010年のサンフランシスコ特集記事でマットを紹介している。その当時彼は、日本にも輸入されているスピークイージーで働いていた。

モダンタイムスは最初の直営店が成功して得た資金を新規事業の商機に運用することができている。サンディエゴ・ノースパークにある第二の直営店「フレーバードーム」も、同様の美学を共有する。最初の壁のモザイク画はヨーダで、これはフロッピーディスクでつくられている。来年、同社はさらに二つの店をオープンする。一つはロサンゼルス、もう一つはアナハイムで、今後もこういった拡張の継続が望まれる。ロサンゼルスの「ダークネス道場」は、フルサービスのレストランとコーヒーカフェを備えるブルーパブで、新しい研究開発施設としても機能する予定だ。アナハイムの「レジャータウン」は、はるかに大掛かりな事業で、モダンタイムスによれば「現在進行中の大騒ぎという芸術を追究する次なる主要研究施設」とのこと。同施設も現地にブルワリーを持つ予定だが、サワービールをテーマとするそうだ。フーダー(木製の熟成タンク)と実験的な発酵タンクの使用を計画している(我々はその完成を待つしかない)。敷地内にある歴史あるクラフトマンスタイルの家がカフェとレストランになり、プールサイドバーと映画スクリーン付きのスイミングプールも備える。プレイボーイハウスとウィリー・ウォンカのチョコレート工場の中間といった感じだが、クラフトビールのための場である。

本稿執筆時において、米国では、モダンタイムスはカリフォルニア、アリゾナ、ネバダ、ニューヨークの1週間イベントでのみ流通している。日本の消費者はモダンタイムスのビールを手に入れることができて幸運だ。この秋、マットが日本を訪れ、厳選されたクラフトビールバーでファンの歓迎を受けた。モダンタイムスの奇妙な直営店の一つが日本でオープンすることがあれば、そのとき私たちは本当に幸運だとわかるだろう。




モダンタイムスの日本正規輸入代理店はナガノトレーディングである。


This article was published in Japan Beer Times #29 (Winter 2017) and is among the limited content available online. Order your copy through our online shop or download the digital version from the iTunes store to access the full contents of this issue.